【第4部】メタボリックシンドローム海外事情
  (4) 「内臓脂肪が病気の元凶」
2006.10.03

 「世界中で肥満者が急増する中で、アメリカやカナダ、欧州、日本など経済的に豊かな国の政府は早期に多角的な具体策を立てるべき時期にきています」

 肥満と糖尿病の研究で知られるカナダ・ラバル大学のジャン・ピエール・デュプレ教授は、飽食社会の深刻な状況を危惧(きぐ)する。世界でもっとも肥満率が高いのは米国で30%を超えるが、隣接するカナダも生活文化が似ていることから20%を上回った。

 このため、カナダ政府は母乳を勧めるなど食事の改善や、学校の体育の授業時間を大幅に増やすなど運動を推進するプログラムを立てている。

 「私が肥満の研究を始めた25年前には考えられなかったことですが、今では小児や青年期に、肥満などが原因の2型糖尿病の症状が出ています。また、歩きやすいように道路を整備するなど国レベルの対策まで必要になるとも思わなかった」と予想以上の肥満社会の進展にデュプレ教授は率直な感想を述べる。

 実際、肥満者の世界的な広がりは「蔓延(まんえん)」という言葉が使われるほど止まらない。

 WHO(世界保健機関)が提案し、2004年に採択された「世界肥満防止戦略」では食生活改善と運動不足の解消を軸にした取り組みを求めている。肥満率が20%以上と高い英国は今年、肥満予防を担当する大臣「フィットネス相」を新設し、対策に本腰を入れる構えだ。

 オーストラリア・シドニーで開かれた第10回国際肥満学会に世界各国から3,000人を超える学者、研究者らが集まったのも、事態に呼応して研究が盛んになっていることを示す。医学・生物学だけでなく、健康的な街づくりを進める都市計画の学者らも講演した。

 「学会がスタートした70年代半ばは、肥満の研究といっても脂肪細胞そのものや食生活のエネルギーバランスといった小規模な範囲で議論していました。いまは、糖尿病や心臓病などの研究者が積極的に参加し、多角的な視野での研究が広がっています。その中で急速に病気との関係が詳細に明らかになってきたのが、腸など内臓の周囲に脂肪がたまる内臓肥満なのです」

 デュプレ教授によると、肥満による「余分な脂肪」の蓄積が、どのように影響するか調べようと、大阪大グループの論文を参考にして脂肪組織をCT(コンピューター断層撮影法)で撮影したところ、蓄積する脂肪の分布状況がつきとめられた。これまでは体内の脂肪の全体量の多さと病気との関連を調べていた。しかし、それよりも「分布状況」が重要で、体内のどの位置にあればどれほど糖尿病や心臓病の発症リスクが高まるか、分析できるようにもなった。

 その結果、腸の周囲など内臓にたまる脂肪(内臓脂肪)が一番の悪玉で、血液中の脂肪や糖の代謝、血糖値を下げるホルモンであるインシュリンの分泌量などに影響を与え、動脈硬化など病気の発症につながることが明らかになってきた、という。内臓脂肪を減らすことの重要性が海外でも検証されたことになる。

 オーストラリア政府の肥満・糖尿病対策のリーダーであるイアン・ケイターソン・シドニー大教授も「政府関係者や医療関係者は内臓脂肪による肥満には注目しています。実際、医療関係者からも、内臓肥満の人に糖尿病や心臓病、高血圧症を併発するケースが多いという報告を受けており、内臓脂肪を減らすことが、肥満対策の主要なテーマになっていくでしょう」と断言する。

 内臓肥満の考え方が海外で浸透するのに伴い、病気を水際で防止するメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準についても注目が集まった。



大正製薬
明治製菓
第一生命

    メタボリックシンドローム撲滅委員会とは メタボリックシンドローム撲滅運動キャンペーンの活動 メタボリックシンドローム撲滅運動 協賛各社の取組み
最新情報
     ◆【参加申込受付中!】
     第29回肥満学会 市民公開講座
     「特定健診・保健指導はこわくない!
      -メタボリックシンドロームを予防・解消する生活習慣とは」

     日 時:2008年10月18日(土)15:00-17:00
     場 所: iichiko総合文化センター(大分)
     詳しくは>>
メタボリックシンドローム撲滅の意義
メタボリックシンドロームの治療
メタボリックシンドロームに関する諸学説
連載
委員会関連記事
松澤 佑次
(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
春日 雅人
(日本糖尿病学会理事長/国立国際医療センター研究所長)
松岡 博昭
(日本高血圧学会理事長/獨協医科大学副学長)
北  徹
(日本動脈硬化学会理事長/京都大学理事・副学長)
齋藤 康
(日本肥満学会副理事長/日本動脈硬化学会副理事長/千葉大学学長)
渡邊 昌
(国立健康・栄養研究所理事長)
オフィシャルグッズ
情報交換
メールマガジン
メタボリックシンドローム・ネット
リンク集
100倶楽部
委員長
   松澤 佑次(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
委 員
   門脇  孝(日本糖尿病学会理事長/東京大学大学院教授)
   松岡 博昭(日本高血圧学会理事長/獨協医科大学循環器内科)
   北   徹(日本動脈硬化学会理事長/京都大学理事・副学長)
   齋藤  康(日本肥満学会副理事長/日本動脈硬化学会副理事長/千葉大学学長)
   渡邊  昌(国立健康・栄養研究所理事長)
   中尾 一和(日本内分泌学会理事長/京都大学大学院医学研究科 内科学講座内分泌代謝内科教授)
   斉藤  勉(産経新聞社取締役編集・写真報道担当東京編集局長)
   大倉  明(産経新聞社総合企画室長)
   宮本 幸一(ニッポン放送常務取締役)
   中村 芳章(フジテレビジョン事業局長)
オブザーバー
   関  英一(厚生労働省健康局 生活習慣病対策室長)
   春日 雅人(国立国際医療センター研究所長)
   小林三世治(第一生命医長兼健康増進室長)
リーダー・総合監修
   宮崎 滋(東京逓信病院内科部長)
医学分野
   片山 茂裕(埼玉医科大学第4内科(内科学内分泌・糖尿病内科部門)教授)
   横出 正之(京都大学探索医療センター・探索医療臨床部長・教授)
   和田 高士(東京慈恵会医科大学新橋健診センター所長)
   柴 輝男(三井記念病院糖尿病代謝内科部長)
   中川 徹(日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長)
医療・保健指導分野
   津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長)
   野口 緑(尼崎市国保年金課健康支援推進担当課長補佐・保健師)
運動指導分野
   宮地 元彦(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム運動ガイドライン プロジェクトリーダー)
   斉藤 満((社)日本ウオーキング協会事業局長)
   菅野 隆(健康創研代表・健康運動指導士)
食事指導分野
   鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科准教授)
   小野 真実(女子栄養大学食生態研究室講師)
   柴崎千絵里(東京女子医科大学病院栄養管理部)
メタボリックシンドローム撲滅委員会
産経新聞社
フジテレビジョン
ニッポン放送
フジサンケイ ビジネスアイ
厚生労働省
学会
日本肥満学会日本動脈硬化学会日本高血圧学会日本糖尿病学会日本循環器学会日本腎臓学会日本心臓病学会日本内分泌学会日本血栓止血学会日本歯科医学会日本歯周病学会日本抗加齢医学会日本CT検診学会日本人間ドック学会日本総合健診医学会日本食物繊維学会日本プライマリ・ケア学会
社団・財団・協会
日本医師会日本臨床内科医会日本歯科医師会日本栄養士会日本薬剤師会健康・体力づくり事業財団日本糖尿病財団日本心臓財団日本看護協会日本フィットネス産業協会日本製薬工業協会日本OTC医薬品協会日本生活習慣病予防協会日本健康運動指導士会全国保健センター連合会全国保健師長会日本ウオーキング協会日本健康スポーツ連盟健康保険組合連合会
協力団体
高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
メディア
サンケイリビング新聞社扶桑社
協賛各社
第一生命保険相互会社 アステラス製薬株式会社 大塚製薬株式会社 オムロン・ヘルスケア株式会社
株式会社カイゲン 花王株式会社 科研製薬株式会社 キッセイ薬品工業株式会社
小林製薬株式会社 サノフィ・アベンティス株式会社 サンスター株式会社 塩野義製薬株式会社
第一三共株式会社 大正製薬株式会社 武田薬品工業株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
バイエル薬品株式会社 明治乳業株式会社
賛助企業
株式会社カーブスジャパン ・日本ケミファ株式会社