心筋梗こうそく塞、脳卒中など動脈硬化につながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の考え方を取り入れた「特定健診・特定保健指導」が4月からスタートしました。狙いなどについて、厚労省健康局生活習慣病対策室で新制度の啓発などに奔走する関 英一室長に聞きました。
--- 新しく始まった健診で、厚労省はどんな点をPRしていきますか
「生活習慣病の予防は、自身の日常生活を振り返ってもらい、『適度な運動』『バランスのとれた食事』『禁煙』を実践してもらうことが基本となります。健診は個人個人にこうしたことを実践してもらえるよう支援していく取り組みの1つ。新しい制度の中では、生活習慣病の発症リスクが高い人に対して、医師や保健師といった『健康生活へのプロの案内人』が、生活習慣をよりよい方向へと変えていくサポートを行います。健康の維持増進と、生活習慣病の予防の観点から、積極的に利用してもらいたいですね」
--- 新しく始まった健診は、なぜ必要なんですか
「生活習慣病を引き起こすリスクがある人が、適度な運動とバランスのよい食事をとることなどで、生活習慣病のリスクを減らせることも判明しています。リスクがあるかどうかを明らかにした上で、生活習慣を変えていくサポートが必要かどうかや、生活習慣改善の努力をした後、リスクの状態が、どう変化したかを見るための情報を得るため、健診を受けることが必要となります」
--- 制度スタートで、どのような成果を期待していますか
「日本では亡くなる人の3分の1が、心臓疾患や糖尿病などの生活習慣病が原因となっており、33兆円の医療費の4分の1を占めています。これは今後も人口構造の変化に伴って増えていく見込みです。国民のみなさんが、これらの病気で健康を損なうことを防ぐことで、負担してもらっている医療費全体の伸びが、結果として小さくなることが期待できます。実際に健康作りに熱心な自治体や保健組合などでは、健診の結果をみて食事や運動などの見直しを支援する『保健指導』に取り組むところがあり、加入者の健康増進や医療費の削減に成果を上げています」
--- 健診後の医師や保健師ら専門家による指導力も制度が成功するための鍵をにぎることになりますね
「医師はもちろん、保健師や管理栄養士にも力を発揮してもらうため研修を行っている。専門家と一緒に作った改善計画で、実際に検査値が改善すれば本人にとっても目標を達成しようという動機付けになる。しっかりとした指導が大切だと思っています」
--- 健診の基準は、どのようにしてできたのですか
「長期間、地道に蓄積されたデータに基づき、関係学会の専門家のコンセンサスを踏まえた上で決定したもので、現時点で最善の基準と考えています。ただ、新制度が始まって、相当量のデータがさらに集まり蓄積され、切れ味のいい基準がでてくる可能性もあります。行政もそれにみあった形で、中長期にみれば基準も見直すという姿勢でいます」
--- 啓蒙、啓発などの中で、苦労している点は
「国民の中には、『また国がおせっかいで、とんでもないことをする』といった負のレッテルを張る人も確かにいるでしょう。そうではないということを示すため魅力的な事業をやらなければならないと考えています。自分の問題で、自分を主体に考えてください。主役はひとりひとりです。健診がオールマイティーというわけではなくて、きっかけづくりにすぎません。生活習慣を改善する個人の取り組みの重要性をしっかりとPRしながら、あくまでも自分自身が主役となって利用する事業だということを十分に理解のうえ、できるだけ多くの人に健診をうけていただけるよう呼び掛けていきたいと思っています」
--- 個人的に苦労されたことはありますか
「現在の生活習慣病対策室にくる前は、体重は80?を超え、メタボ基準もオーバーしていました。しかし、『メタボ』であると言われることへのプレッシャーから、去年の8月ぐらいから今年2月にかけて、月に2kgペースでやせた。現在は、68kg程度まで体重を落とし、メタボ基準も下回っています。実際に高めだった血圧なども完全に正常値になりました。やってみるもんですね」
【プロフィール】
関 英一 さん(厚生労働省健康局生活習慣病対策室長)
昭和59年厚生省入省。世界保健機関(WHO)派遣などを
経て、平成19年から生活習慣病対策室長。

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