【検証 メタボリックシンドローム】 特定健診・保健指導スタートから半年
 ■巧みな保健指導で成果(1/3)
2008.11.12

日本肥満学会シンポ「メタボリックシンドローム克服へのアプローチ」

 第29回日本肥満学会が10月中旬、大分市で開かれ、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)克服へのアプローチ」のテーマでシンポジウムが行われた。日本のメタボ診断基準に関連して疫学調査からの検証や、食事・運動療法、保健指導などについて話し合った。


■メタボ、2型糖尿病の予測因子

 札幌医科大学の齋藤重幸講師は「メタボリックシンドロームの疫学と現状」のテーマで講演。北海道で30年にわたり続けている疫学調査のデータをもとに、日本のメタボの診断基準を検証し、動脈硬化だけでなく、糖尿病や高血圧の強い予測因子でもあることを明らかにした。

 齋藤講師、島本和明教授らは、北海道・端野(たんの)、壮瞥(そうべつ)の2町で計約2000人を対象に昭和53年から30年間継続して、住民健診を行い、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などについて病気との関連を調べる疫学調査を続けている。

 日本内科学会など8学会が平成17年にまとめたメタボの診断基準では、内臓脂肪蓄積型の肥満を基盤として、高脂質、高血圧、高血糖など複数のリスクが基準値を超えると動脈硬化から生活習慣病につながる、としている。この基準をもとに、齋藤講師らが行った住民健診の中のメタボになっている人の頻度を調べたところ、通院中の人を含めた全集団では、男性26%、女性8.8%、治療していない人の集団では、男性18%、女性5.5%だった。

 厚生労働省が、平成16年と17年の国民栄養調査をもとに行った頻度では40〜74歳で男性の25.5%、女性の10.3%がメタボと判定されることから、齋藤講師らが調べている集団は、全日本人と同様の頻度を示していることが示された。

 そこで、治療していない集団について、血管の弾力性の低下を調べて動脈硬化の程度がわかる「PWV(脈波伝播速度)検査」のデータを指標にして解析したところ、メタボの人は明らかに動脈硬化が進んでいた。

 また、脂肪組織から分泌され、動脈硬化を修復する作用がある善玉ホルモン「アディポネクチン」についてもメタボの人は分泌量が少なかった。これで診断基準によりメタボと判定された人は動脈硬化のリスクが高まっていることが実証された。

 さらに、心臓の病気の発症にどの程度影響しているか調べるため、治療していない男性約800人を8年間、追跡調査した。この結果、日本の診断基準でメタボに当てはまる人は、心血管病などの累積発症率が、メタボでない人に比べて明らかに高く、負のリスクは1.9倍近くになった。

 一方、メタボが、肥満などが原因の2型糖尿病の発症予測因子であることもわかった。メタボでない状況が10年間続いている人に対し、メタボが改善されていない人の糖尿病発症のリスクは6倍、途中でメタボになった人のリスクは4倍もあり、逆にメタボが解消された人のリスクは、ずっとメタボでない人と同等にもどっていた。

 血圧との関係では、男女ともに腹囲径が大きくなればなるほど並行して高血圧の発症率が高まっていく。腹囲が基準を超えて高い人が発症率がもっとも高く、次いで途中で腹部肥満になった人だった。

(2008/11/12)



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