■リスクを表にして自覚促す
尼崎市環境市民局国保年金課の保健師・野口緑さんは、「保健指導の可能性」について発表。平成19年度の受診者約1万人(40〜74歳)のうち22%がメタボの該当から外れるなどの実績の秘訣を披露した。
野口さんは、職員厚生課にいた当時、職員の現職死亡が年平均12人もあったことから、心筋梗塞などの心血管疾患の予防対策として内臓脂肪の蓄積やそれに伴うリスクのある職員を中心に生活習慣の改善指導を行った。この結果、5年間で虚血性心疾患による現職死亡ゼロを達成し、休職者やメタボの該当者を大幅に減らして成果を挙げた。今回は、国民健康保険加入者を対象に「ヘルスアップ尼崎戦略事業」として保健指導を中心に取り組んだ。
「より早く、肥満が始まった段階でメタボに該当する人を見つけ出し、病気に陥るような状況を予防し、行動変容を促していく。自覚症状がない段階からなので、保健指導の仕方がカギを握ることは間違いない」と野口さんは語る。
まず、「今自分の血圧が上がっている背景には、何があるかなどと、自分の身体状況を理解していただく。そして内臓脂肪蓄積につながっていく生活習慣とはなにか、そうした一連の気付きをサポートしていくことがもっとも重要」と野口さん。
そのツールとして、個人の健診結果を10年単位の長期間で追った「経年表」と、もうひとつが血圧、尿酸、血糖、中性脂肪などメタボのリスクを表す数値を盛り込んだ「結果表」だ。前者は、自分の身体がどのように変化してきたか、その原因を自身で生活を振り返り、探り当てることができる。後者は、動脈硬化の進展具合など血管の状態を理解する手助けとなる。具体的に、何が内臓脂肪の蓄積につながったか、例えばアイスクリーム1個の糖分がいかに血糖に反映するか、身体のメカニズムを学習しつつ、気付いていないことも意識化して支援していく。
今回の健診では、男性の「正常高値血圧」以上の367人に対して行い、6カ月後を経た結果では、中等症高血圧から軽症高血圧が38%、重症高血圧から正常に戻ったケースが3%、中等症高血圧へは32%だった。総計では15%が正常血圧となり、改善者は、全体の43%に上っている。特に長期の血糖値が反映するヘモグロビンA1c8〜9%以上であった人についても大幅な改善がみられた。
なかでも重症高血圧から正常に復帰した68歳男性は、半年後には、腹囲が7センチ、体重が11キロも減っていた。
平成18年度19%だった受診率が今年は32%と上昇し、初めての受診者は、53%に及んだ。
一方、内臓脂肪蓄積がなくても高リスクの人が多くいた。野口さんは、「保健指導の対象としては、こうした人もきちっと見極めて見逃さないことも重要です。健診の受診率を上げていけば、さまざまなケースが掘り起こされてくる。医療と保健との連携を進めていくことが、メタボ対策の成功のカギを握ると思うのです」と語っている。

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