成人期に直結する子供の肥満。小児期から生活習慣の基礎づくりを
メタボリックシンドロームといえば、中年以降の問題という印象が強い。しかし、世界的な肥満増加を背景に、小児期のメタボも増えているという。子供の肥満の多くは成人に移行し、成人の動脈硬化の発症が小児期の脂肪蓄積と相関しているとの報告も多くなっている。平成19年には厚生労働省の研究事業によって小児メタボの診断基準も定められた。研究班の主任研究者をつとめる大関武彦・浜松医科大学教授に、小児メタボの現状と予防の重要性について聞いた。
---子供の肥満は増えているのですか。
大関 アフリカのように飢餓がある地域を除いて、小児肥満は世界的に増加傾向にあります。ヨーロッパ、北米、オセアニアなどの工業化された多くの国で高率で、中国などでも増えている。たとえば、英国女子(6〜10歳)は過体重児が30%前後と非常に高い。日本での肥満の子供(標準体重+20%以上の小学生)の出現率は、昭和43年度のデータで全国平均が2〜3%だったのが、今は10%前後です。かつては人口集中部に多く、都会の病気だと言われていましたが、そうした地域差はなくなって広く全国に分布しています。肥満の増加は日本の親がおかしいから、というような理由ではありません。現代文明と関係する世界規模の問題だという点が重要です。
---増えている理由は。
大関 大きく分ければ遺伝的要因と、後天的な生活習慣の二つが考えられます。確かに太りやすい体質というのはありますが、これだけ爆発的に増えているのは、やはり生活習慣が大きな要因でしょう。食事の量が増え、高脂肪食をとり、食品の大量購入、大量保存が可能になって、コンビニなどで欲しいときに簡単に食品を手にすることができるようになった。
こうして摂取エネルギーが増加する一方で、テレビの見過ぎ、ゲームなど室内遊技の多さ、運動時間の減少、自動車の普及などによって消費エネルギーは減少しています。現代の普通のライフスタイル自体が、肥満を生じさせやすくなっているのです。
最近では、低出生体重児(2,500g未満)の問題も関心を呼んでいますが。
大関 これは、小さく生まれた赤ちゃんは肥満になりやすく、生活習慣病になるリスクが高い可能性があるというものです。1987年に私が肥満の子供たちの出生体重を調べたところ、母親の糖尿病などのため高出生体重児として生まれる子供だけでなく、低出生体重児も多いことが分かりました。このデータは恐らく日本で最初のものです。
その少し前に、英国のバーカー博士が低出生体重児はさまざまな問題を起こすという「バーカー仮説」を提唱しました。その後も、2型糖尿病になりやすい、高血圧になりやすいなどのリスクが指摘されており、疫学的にほぼ間違いないことです。このメカニズムは現在でもはっきり解明されていませんが、母親の栄養状態が悪かったりすると、胎児は生き残るために胎内の環境に合わせて体質を倹約型に変えてしまう。それが、生まれた後に栄養状態がよくなりすぎたりして、生活習慣病をおこしやすくなると考えられます。「小さく産んで大きく育てる」は正しくないことが、明らかになってきているのです。私が思うに、もともと「小さく産んで大きく育てる」というのは、小さく産まれたけれど頑張って育てましょうという励ましの言葉だったのだと思います。いつの間にかそれが目的になり、効率的でいいということになってしまったようです。そんな虫のいい無理な考えは間違っています。標準的に産んで、標準的に育てることが大事です。
最近は、若い女性の痩せすぎが問題になっており、妊娠しても体重が増えないように注意しすぎる傾向があります。低出生体重児のすべてが母親のダイエットによるものというわけではありませんが、しわ寄せが赤ちゃんに出てしまうことは忘れないでいただきたい。

医療・健康情報グループ検索



























委員長
















