メタボリックシンドローム撲滅運動
・第2回撲滅委員会(2/2)
■簡単な計算でコントロール
2009.01.17

■長寿県・長野の取り組み紹介 わかりやすい食品表示カギ
◆国立健康・栄養研究所理事長 渡邊昌氏

 渡邊氏は、長寿県である長野県で続けている健康づくりのための研究「佐久肥満克服プログラム(SCOP)」などについて報告し、体重の自己管理のための方策を提示した。長野県は、1968年ごろから、佐久総合病院を中心に農協連、農医連、農協関係の7つの病院が熱心に住民健診を行っている。

 その結果、男性では72、73年ごろから、女性でも80年ごろから全国平均よりも死亡率がだんだん低くなってきた。入院も減り、10万人あたりの入院率で比較すると、50歳代ごろから全国よりだんだん少なくなり、75歳以上では全国レベルで1,000人当たり160人なのが、長野では130人になってきた。

 また、入院の日数と医療費もかなり関係していて、長野がもっとも入院日数が少なく約22日で、医療費も約20万円。もっとも多い府県で約60日入院、40万円以上かかっている。

 高齢者の医療費と在宅死亡率の関係では、医療費が少ないほど在宅死亡率が高い。長野県だと、37.8%ぐらいの在宅死亡率だ。70歳以上の配偶者の有無にわけてみると、配偶者のいる人は死亡率が低く、医療費も少ない。

 国立健康・栄養研究所では、何をどれだけ食べればいいのか、どれだけ動けばいいのかということを長年研究してきた。肥満にはエネルギー代謝が一番問題になるが、各年齢のエネルギー消費量をみると20歳代は少し高いが、30歳代以降はあまり変わらない。体重当たりで見ると、80キロ未満では直線的に比例している。この結果から、食事による栄養コントロールを「テーラーメードニュートリション(個人対応の栄養学)」で行う道筋をつけることができた、という。

 渡邊氏らが開発した栄養摂取量の計算方法は簡単で、活動的な人は体重掛ける0.5、普通の生活だと0.4を掛ける。たとえば、体重70キロで普通の生活をしていると、0.4を掛けて28単位。1単位が80キロカロリーなので、2,240キロカロリー取ればいいことになる。

 実は、この計算法は、子供にもあてはまり、1歳ぐらいの体重10キロには1.0を掛け、成人までに10キロごとに0.1ずつ数字を減らしていく。これで成長期の子供にも年齢や学年によらず、体重のサイズによって、簡単に適切なエネルギーの摂取量が算出できる。また、肥満者ややせ過ぎの人は現体重でなくてもなりたい理想の体重に数値を掛ければ、その実現のための摂取エネルギー量が分かる。

 「それぞれの食品に何単位か書いてあれば便利なので、そのようなフードアイコンを作っている」と渡邊氏。

 体重減少のためにはセルフモニタリングが効果的だ。渡邊氏らは佐久の研究に「認知行動変容療法」を取り入れて減量作戦を行っている。自分で体重の変化や食事の記録、運動量を日誌に付けていく。自分の目標を立てるようになっており、それぞれの達成した項目を見ることで生活習慣が変わり、改善点が見いだせる、という。

 SCOPでもBMI(体格指数)30以上の人を対象に、この方法で付けた日誌について、管理栄養士と運動療法士がコメントを書いてサポートしている。

 その結果、何も介入しなかった人は、1年後でも体重に変化はなかったが、介入した場合、8割の人が減量し、5%以上減った人が5割、10%減った人が4分の1ぐらいという好成績だった。また、さらに1年後のリバウンドも少なかった。

 渡邊氏は「体重がなかなか減らない理由の一つは、自分がどれだけとればいいのか、自分の食べているものがどれだけカロリーがあるかということもわからないことにあります。だから、食品メーカーや販売店、レストランなど提供側がわかりすい表示を心がけることがカギになるでしょう」と解説した。





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