急性心筋梗塞に注目の治療法(2/2)
2009.05.27


■症状があれば疑ってかかることが大事

---薬剤溶出型ステントの問題点は

 「晩期ステント血栓症」という言い方で数年前、欧州の学会で問題になりました。薬剤溶出型ステントを血管に留置後、1年以上経過したにもかかわらず、突然血栓ができてステントが詰まってしまう危険性が指摘されたわけです。ところがその後の研究で、こうしたリスクが別に薬剤溶出型ステント特有の問題ではなく、植え込み手技の不完全だったり、抗血小板薬を途中でやめてしまったりなどの原因が指摘され、薬剤を塗っていないステントも同じような問題点があることが分かってきました。

 薬剤溶出型ステントも改良が進み、現在私どもの病院では、ふたつの新しい薬剤溶出型ステントの国際共同治験を行っています。薬剤を塗っていないステントは再狭窄が40%ぐらいで起こるのが問題点。広がったにもかかわらず、ステントの内側に血管内膜細胞が異常に増殖してきて、半年ぐらいのうちにまた、狭窄を招くことになる。だから、それを防止するために内膜細胞増殖や分裂を抑える抗がん剤や免疫抑制剤が有効だともいわれており、治験が始まっているのです。

---狭心症や心筋梗塞を早く見つけるには

 やはり重要なのは、患者さんの訴えです。基本的にはまず心電図をとりますが、最近では、画像診断が進歩し、造影剤を使ったCTスキャンが非常に有効で、狭窄部分などを明確に映し出します。場合によっては、MRI(磁気共鳴診断装置)でもよく分かります。

---冠動脈インターベンションで急性心筋梗塞の死亡率が劇的に下がった

 冠動脈障害の、こういう手技による再還流療法で、予後が非常に改善したのは確かです。心血管インターベンション学会の統計では、自然経過で何もせずに心筋梗塞になった場合、急性期に40%ほど死亡するといわれていたのです。それが、今では冠動脈インターベンションの普及で、死亡率は3?4%に下がってきたのですから、それこそ激減です。できるだけ3時間以内に、それも対処が早ければ早いほど越したことはないのです。

---再発も多い

 確かに。心筋梗塞を再発した場合の死亡率は、40%を超えます。だから、再発をなんとしても防がなくてはいけません。再発の場合でも、決してステントは用をなさないわけではありませんが、再発の間に心臓の筋肉がダメージを受けていますから、完全な回復には至らないことが多いのです。


■食事情悪化で欧米並みに

---患者さんに対するアドバイスは

 まず欧米スタイルの生活習慣から、昔の本来の日本のスタイルに戻ることが、こういう病気を減らすことになります。要は、脂肪が少なく繊維物質の多い食生活や運動に励み、動脈硬化に陥りやすい生活を改善すること。リスクの高い人であれば、現在はコレステロールなどを下げるよい薬もあり、早めに是正しておくことです。これは再発予防にもつながります。それと日本には、優れた冠動脈インターベンションの医療者がたくさんいます。恵まれた条件にあるわけですから、皆この病気の危険性を知って早く病院に来ることが肝心です。病気になる前のメタボ予防も確かに重要で、次の世代のためにも一次予防をしっかりしてほしいものですね。

 現在米国には、日本の10倍の患者さんがおります。日本の食事情が悪くなれば、米国なみに心筋梗塞が増えることも考えられます。粗食の時代に育った人たちに心筋梗塞の発症が少ないことは理解できますが、次の世代はどうなるか。体の構造的な変化が疾患を呼び起こしているのであり、全体的に見たらこういう病気の発症には、何十年ものタイムラグがあります。このままの情勢で動脈硬化が増えていけば、20?30年後には、日本人の心筋梗塞がいまより10倍ぐらいに増加することは間違いないと思われるのです。


【Profile】齋藤 滋

 さいとう・しげる 大阪大学医学部卒業。関西労災病院内科医長を経て昭和63年、湘南鎌倉総合病院開院と同時に同病院循環器科部長、平成12年副院長。冠動脈インターベンションの第一人者、海外での普及に努める。

(産経新聞 2009/05/27)



第一生命
オムロンヘルスケア
サンスター
大正製薬

    メタボリックシンドローム撲滅委員会とは メタボリックシンドローム撲滅運動キャンペーンの活動 メタボリックシンドローム撲滅運動 協賛各社の取組み
委員長
   松澤 佑次(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
委 員
   門脇  孝(日本糖尿病学会理事長/東京大学大学院教授)
   島本 和明(日本高血圧学会理事長/札幌医科大学教授)
   北   徹(日本動脈硬化学会理事長/神戸市立医療センター中央市民病院院長)
   齋藤  康(日本肥満学会理事/日本動脈硬化学会理事/千葉大学学長)
   渡邊  昌生命科学振興会理事長)
   中尾 一和(日本内分泌学会前理事長/京都大学大学院医学研究科 内科学講座内分泌代謝内科教授)
   齋藤  勉(産経新聞社常務取締役 編集・論説・正論・写真報道担当)
   平田 篤州(産経新聞社総合企画室長)
   宮本 幸一(ニッポン放送常務取締役)
   中村 芳章(フジテレビジョン事業局長)
オブザーバー
   上田 博三(厚生労働省健康局長)
   木村 博承(厚生労働省健康局 生活習慣病対策室長)
   春日 雅人(国立国際医療センター研究所長)
   小林三世治(第一生命医長兼健康増進室長)
リーダー・総合監修
   宮崎 滋(東京逓信病院内科部長)
医学分野
   片山 茂裕(埼玉医科大学内科学教授・同大学病院病院長)
   横出 正之(京都大学探索医療センター・探索医療臨床部長・教授)
   和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授・同附属病院新橋健診センター所長)
   柴 輝男(三井記念病院糖尿病代謝内科部長)
   中川 徹(日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長)
医療・保健指導分野
   津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長)
   野口 緑(尼崎市国保年金課健康支援推進担当課長補佐・保健師)
運動指導分野
   宮地 元彦(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム運動ガイドライン プロジェクトリーダー)
   斉藤 満((社)日本ウオーキング協会事業局長)
   菅野 隆(健康創研代表・健康運動指導士)
食事指導分野
   鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)
   柴崎千絵里(東京女子医科大学病院栄養管理部)
   小野 真実(女子栄養大学食生態研究室講師)
メタボリックシンドローム撲滅委員会
産経新聞社
フジテレビジョン
ニッポン放送
フジサンケイ ビジネスアイ
厚生労働省
学会
日本肥満学会日本動脈硬化学会日本高血圧学会日本糖尿病学会日本循環器学会日本腎臓学会日本心臓病学会日本内分泌学会日本血栓止血学会日本歯科医学会日本歯周病学会日本抗加齢医学会日本CT検診学会日本人間ドック学会日本総合健診医学会日本食物繊維学会日本プライマリ・ケア学会
社団・財団・協会
日本医師会日本臨床内科医会日本歯科医師会日本栄養士会日本薬剤師会健康・体力づくり事業財団日本糖尿病財団日本心臓財団日本看護協会日本フィットネス産業協会日本製薬工業協会日本OTC医薬品協会日本生活習慣病予防協会日本健康運動指導士会全国保健センター連合会全国保健師長会日本ウオーキング協会日本健康スポーツ連盟健康保険組合連合会
協力団体
高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
メディア
サンケイリビング新聞社扶桑社
協賛各社
第一生命保険相互会社 アステラス製薬株式会社 大塚製薬株式会社 オムロン・ヘルスケア株式会社
花王株式会社 キッセイ薬品工業株式会社 サンスター株式会社 第一三共株式会社
大正製薬株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 日本酪農乳業協会 バイエル薬品株式会社
明治乳業株式会社
特別協賛 特別協賛
賛助企業
株式会社カーブスジャパン日本ケミファ株式会社