■自発的な改善取り組み支援 「日本糖尿病学会」シンポジウム
スタートして1年が経過した特定健診・特定保健指導について、何が進展し、何が課題として残されたかを考える日本糖尿病学会のシンポジウムが、5月下旬、大阪で開かれた。実際に健診・保健指導にあたった医師らが参加し、制度の実施状況や成果に加えて、今後の問題点について話し合った。
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■達成しやすい目標で高成績
特定健診・特定保健指導制度に計画段階からかかわってきた「あいち健康の森健康科学総合センター」の津下一代・副センター長は、1年間の保健指導の実施結果を踏まえ、今後の課題について講演。「メタボ予備群の人が健康管理について考える時間を持って自発的に取り組めるように支援する態勢や環境づくりで成果が上がっている。さらに改善の効果がある30歳代にも広げればいいでしょう」と強調した。
津下さんによると、生活習慣の改善で病気予防の効果が出ることについて科学的なデータが得られつつある。この時期に、特定健診・特定保健指導が行われ、予防医学の重要性が強調されたことは大きい。ただ、健診を行う義務がある医療保険者(健康保険組合、自治体など)により、受診率などに格差があるため、積極的な情報交換が欠かせない。
例えば、愛知県東浦町の場合、受診率が全体で約60%と高いが、女性の方が男性より積極的に受診。生活改善の効果が高い40〜44歳の男性の受診率が20%台なので、個別健診、集団健診を組み合わせて効率よく行うなど検討する余地がある。
支援にあたっては、検査データをBMI(体格指数)よりも腹囲で表すなど目標を具体的にわかりやすくしたうえで、自分の生活の中で対策を考えてもらうように支援することが大切、という。実際、津下さんが同センターで行った保健指導は、面談のあと、3カ月を減量期、あと3カ月は体重維持期と意識づける。初回の支援で、行動目標をきちんとつくるのが大事で、その際、「体重が4〜5%、3キロぐらい減ればいい」など達成しやすい内容にする。6カ月の積極的支援の結果、ある健康保険組合のグループは、メタボから予備群になった人約40%、完全に脱した人約30%、合わせてメタボ予備群以下になった人が約70%と高成績だった。
津下さんは「自転車の乗り方を教えるように、最初は支援しあとは手を離す方法がよい。データが良くなり、参加してよかったという価値観の転換が行動変容の効果をもたらすのではないでしょうか」と話した。
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■食事+運動習慣が効果大
筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻の田中喜代次教授は、保健指導について運動療法を中心に講演。「国民それぞれがコメディカル(医師以外の医療従事者)のように、自己の健康状態を把握、管理し、楽しみながら運動する元気長寿の取り組みが先決」と話した。
田中教授は、肥満男女の運動・食事療法による介入研究「筑波大学2007」(平成11〜19年)のデータから、まず、療法を始めて3カ月を経た体重の減少は、男性(38〜61歳、104人)が▽運動群2.6キロ▽食事改善群6.4キロ▽食事・運動併用群8.7キロで、内臓脂肪の減少は▽運動29.1平方センチ▽食事改善43.2平方センチ▽食事・運動併用62平方センチといずれも介入量を増やすほど効果があることを示した。
また、メタボ脱出・改善のための減量幅は、3カ月で体重の1割(7〜13%)で、90キロの人なら6〜12キロの減量ということになる。閉経前の女性なら、体重が9キロ以上減量すると98%がメタボを脱出できるという。
リバウンドによる悪影響については、体重増加分はほとんどが皮下脂肪で、メタボの原因である内臓脂肪はあまり増えないという結果も出た。
一方、生活習慣の改善の指導を妻だけに行ったところ、3カ月後に同居する夫の体重も同様に減少したというデータも紹介した。
こうしたことから田中教授は、メタボ脱出には▽食事改善の徹底と運動の習慣化で9割以上▽軽微な食事改善と多くの運動で5割程度▽軽微な食事改善と少なめの運動で3割程度、達成できると説明した。

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