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   <title>メタボリックシンドロームPro. - 飽食社会取材班の連載記事</title>
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   <title>【検証　メタボリックシンドローム】　特定健診・保健指導スタートから半年　■巧みな保健指導で成果(1/3)</title>
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   <summary>日本肥満学会シンポ「メタボリックシンドローム克服へのアプローチ」 　第29回日本肥満学会が10月中旬、大分市で開かれ、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)克服へのアプローチ」のテーマでシンポジウムが行われた。日本のメタボ診断基準に関連して疫学調査からの検証や、食事・運動療法、保健指導などにつ...</summary>
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      <![CDATA[<font color="B22222">日本肥満学会シンポ「メタボリックシンドローム克服へのアプローチ」
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　第29回日本肥満学会が10月中旬、大分市で開かれ、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)克服へのアプローチ」のテーマでシンポジウムが行われた。日本のメタボ診断基準に関連して疫学調査からの検証や、食事・運動療法、保健指導などについて話し合った。


■メタボ、2型糖尿病の予測因子

　札幌医科大学の齋藤重幸講師は「メタボリックシンドロームの疫学と現状」のテーマで講演。北海道で30年にわたり続けている疫学調査のデータをもとに、日本のメタボの診断基準を検証し、動脈硬化だけでなく、糖尿病や高血圧の強い予測因子でもあることを明らかにした。

　齋藤講師、島本和明教授らは、北海道・端野(たんの)、壮瞥(そうべつ)の2町で計約2000人を対象に昭和53年から30年間継続して、住民健診を行い、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などについて病気との関連を調べる疫学調査を続けている。

　日本内科学会など8学会が平成17年にまとめたメタボの診断基準では、内臓脂肪蓄積型の肥満を基盤として、高脂質、高血圧、高血糖など複数のリスクが基準値を超えると動脈硬化から生活習慣病につながる、としている。この基準をもとに、齋藤講師らが行った住民健診の中のメタボになっている人の頻度を調べたところ、通院中の人を含めた全集団では、男性26％、女性8.8％、治療していない人の集団では、男性18％、女性5.5％だった。

　厚生労働省が、平成16年と17年の国民栄養調査をもとに行った頻度では40〜74歳で男性の25.5％、女性の10.3％がメタボと判定されることから、齋藤講師らが調べている集団は、全日本人と同様の頻度を示していることが示された。

　そこで、治療していない集団について、血管の弾力性の低下を調べて動脈硬化の程度がわかる「PWV(脈波伝播速度)検査」のデータを指標にして解析したところ、メタボの人は明らかに動脈硬化が進んでいた。

　また、脂肪組織から分泌され、動脈硬化を修復する作用がある善玉ホルモン「アディポネクチン」についてもメタボの人は分泌量が少なかった。これで診断基準によりメタボと判定された人は動脈硬化のリスクが高まっていることが実証された。

　さらに、心臓の病気の発症にどの程度影響しているか調べるため、治療していない男性約800人を8年間、追跡調査した。この結果、日本の診断基準でメタボに当てはまる人は、心血管病などの累積発症率が、メタボでない人に比べて明らかに高く、負のリスクは1.9倍近くになった。

　一方、メタボが、肥満などが原因の2型糖尿病の発症予測因子であることもわかった。メタボでない状況が10年間続いている人に対し、メタボが改善されていない人の糖尿病発症のリスクは6倍、途中でメタボになった人のリスクは4倍もあり、逆にメタボが解消された人のリスクは、ずっとメタボでない人と同等にもどっていた。

　血圧との関係では、男女ともに腹囲径が大きくなればなるほど並行して高血圧の発症率が高まっていく。腹囲が基準を超えて高い人が発症率がもっとも高く、次いで途中で腹部肥満になった人だった。

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<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/11/23_2.html" target="_blank">特定健診・保健指導スタートから半年(2/3)へ ＞＞＞</A></div>



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   <title>【検証　メタボリックシンドローム】　特定健診・保健指導スタートから半年　■巧みな保健指導で成果(2/3)</title>
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   <published>2008-11-12T05:03:39Z</published>
   <updated>2008-11-12T06:18:04Z</updated>
   
   <summary>　■「4％の減量」で糖・脂質代謝が改善 　比較的軽度な肥満者を対象に愛知県下の6市町村、企業6健保の特定保健指導を開始しておよそ3カ月。「食事・運動療法の考え方」と題する講演で、あいち健康の森健康科学センター副センター長の津下一代さんは、指導結果から、4％程度の減量により、内臓脂肪の善玉ホルモンのア...</summary>
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      <![CDATA[　■「4％の減量」で糖・脂質代謝が改善

　比較的軽度な肥満者を対象に愛知県下の6市町村、企業6健保の特定保健指導を開始しておよそ3カ月。「食事・運動療法の考え方」と題する講演で、あいち健康の森健康科学センター副センター長の津下一代さんは、指導結果から、4％程度の減量により、内臓脂肪の善玉ホルモンのアディポネクチンの分泌が増え、糖・脂質代謝が改善されることなどを報告した。

　特定保健指導の対象となった人の平均年齢は、企業が48歳、市町村が58歳でそれぞれ男性の割合が90％、60％を占め、腹囲の平均値は90センチ前後。積極支援では男性が84％だった。「本人の意欲を高めるには、改善できることを発見してもらい、行動変容をサポートしていくことが大切」と津下さん。減量すれば数値が改善されるというメタボリックシンドロームの概念は非常にわかりやすいので、自分なりに、無理をしない程度の短期的な減量目標を立てることができる。男性約100人を対象に体重と腹囲減少、それにアディポネクチンの変化をみたところ、「4％減量」を境に明らかにアディポネクチンが改善していることがわかった。

　例えば、体重75キロの人なら、75×0.04で、およそ3キロの減量数値となる。3カ月ぐらいかけてやせるのが妥当でもあり、日本肥満学会の標語である「サンサン(3カ月で3キロ減量)運動」とピッタリと符合する。実際に積極支援した39歳の男性には、最初に体重計を購入してもらい、1カ月で1キロ減、1日当たり250キロカロリー減の節食計画を立て、間食・夜食を減らした。運動は初め歩数計をつけるだけだったが、次第に1日1万2000歩の運動を実践するようになった。

　「有酸素運動7、筋肉トレーニング2、そしてストレッチ1ぐらいの割合が一番効果的」と津下さん。食生活は、あまり細かいことでなく、おかずの取りすぎや飲酒量などに気を配ることがポイント。この男性の場合、減量と安定を繰り返しながら徐々に体重が減少し、3カ月後の検査では、例えば、中性脂肪が679から88mg/dLに、ヘモグロビンA1cが7.9から6.3％になり、その後もリバウンドなく安定している。血圧や脂肪肝も大幅に改善された。

　継続支援の結果として、市町村の国保で、比較的女性の多い「教室型」と50代男性の多い「運動施設型」のメタボ減少率の改善比較を行ったところ、前者は60％、後者は39％となった。運動施設型は、運動意欲があるにしても食習慣は変わらなかったため、食生活の指導を一度加えたところ、翌年度の保健指導では、メタボ減少率を15ポイント上げることができた。

　「実行できなかったことを注意するのでなく、その人が意欲的に続けられるよう励ましていくことが大事」と津下さんは語る。

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<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/11/33_2.html" target="_blank">定健診・保健指導スタートから半年(3/3)へ ＞＞＞</A></div>]]>
      
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   <title>【検証　メタボリックシンドローム】　特定健診・保健指導スタートから半年　■巧みな保健指導で成果(3/3)</title>
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   <published>2008-11-12T03:08:03Z</published>
   <updated>2008-11-12T06:19:42Z</updated>
   
   <summary>■リスクを表にして自覚促す 　尼崎市環境市民局国保年金課の保健師・野口緑さんは、「保健指導の可能性」について発表。平成19年度の受診者約1万人(40〜74歳)のうち22％がメタボの該当から外れるなどの実績の秘訣を披露した。 　野口さんは、職員厚生課にいた当時、職員の現職死亡が年平均12人もあったこと...</summary>
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      <![CDATA[■リスクを表にして自覚促す

　尼崎市環境市民局国保年金課の保健師・野口緑さんは、「保健指導の可能性」について発表。平成19年度の受診者約1万人(40〜74歳)のうち22％がメタボの該当から外れるなどの実績の秘訣を披露した。

　野口さんは、職員厚生課にいた当時、職員の現職死亡が年平均12人もあったことから、心筋梗塞などの心血管疾患の予防対策として内臓脂肪の蓄積やそれに伴うリスクのある職員を中心に生活習慣の改善指導を行った。この結果、5年間で虚血性心疾患による現職死亡ゼロを達成し、休職者やメタボの該当者を大幅に減らして成果を挙げた。今回は、国民健康保険加入者を対象に「ヘルスアップ尼崎戦略事業」として保健指導を中心に取り組んだ。

　「より早く、肥満が始まった段階でメタボに該当する人を見つけ出し、病気に陥るような状況を予防し、行動変容を促していく。自覚症状がない段階からなので、保健指導の仕方がカギを握ることは間違いない」と野口さんは語る。

　まず、「今自分の血圧が上がっている背景には、何があるかなどと、自分の身体状況を理解していただく。そして内臓脂肪蓄積につながっていく生活習慣とはなにか、そうした一連の気付きをサポートしていくことがもっとも重要」と野口さん。

　そのツールとして、個人の健診結果を10年単位の長期間で追った「経年表」と、もうひとつが血圧、尿酸、血糖、中性脂肪などメタボのリスクを表す数値を盛り込んだ「結果表」だ。前者は、自分の身体がどのように変化してきたか、その原因を自身で生活を振り返り、探り当てることができる。後者は、動脈硬化の進展具合など血管の状態を理解する手助けとなる。具体的に、何が内臓脂肪の蓄積につながったか、例えばアイスクリーム1個の糖分がいかに血糖に反映するか、身体のメカニズムを学習しつつ、気付いていないことも意識化して支援していく。

　今回の健診では、男性の「正常高値血圧」以上の367人に対して行い、6カ月後を経た結果では、中等症高血圧から軽症高血圧が38％、重症高血圧から正常に戻ったケースが3％、中等症高血圧へは32％だった。総計では15％が正常血圧となり、改善者は、全体の43％に上っている。特に長期の血糖値が反映するヘモグロビンA1c8〜9％以上であった人についても大幅な改善がみられた。

　なかでも重症高血圧から正常に復帰した68歳男性は、半年後には、腹囲が7センチ、体重が11キロも減っていた。

　平成18年度19％だった受診率が今年は32％と上昇し、初めての受診者は、53％に及んだ。

　一方、内臓脂肪蓄積がなくても高リスクの人が多くいた。野口さんは、「保健指導の対象としては、こうした人もきちっと見極めて見逃さないことも重要です。健診の受診率を上げていけば、さまざまなケースが掘り起こされてくる。医療と保健との連携を進めていくことが、メタボ対策の成功のカギを握ると思うのです」と語っている。

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   <title>【メタボリックシンドローム撲滅運動】沖縄特集(1/3)　■沖縄だけの問題ではない</title>
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   <published>2008-10-23T02:39:41Z</published>
   <updated>2008-10-24T02:43:09Z</updated>
   
   <summary>　男性平均寿命が一気に「全国26位」に落ち込んだ沖縄県では、「長寿復活」を目指して、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を根幹とする、県民挙げての健康づくりに取り組んでいる。その最大の懸念は、脂肪摂取量が基準量を大きく上回り、特に若い人の肥満傾向が顕著になってきたことだ。そうした食生活の兆候は...</summary>
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      <![CDATA[　男性平均寿命が一気に「全国26位」に落ち込んだ沖縄県では、「長寿復活」を目指して、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を根幹とする、県民挙げての健康づくりに取り組んでいる。その最大の懸念は、脂肪摂取量が基準量を大きく上回り、特に若い人の肥満傾向が顕著になってきたことだ。そうした食生活の兆候は、実は、日本全土でも表れ始めており、沖縄は、肥満状況をうかがわせる将来の日本の縮図なのかもしれない。沖縄の現状と対策を報告する。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

<b>■沖縄だけの問題ではない</b>

　1980年から6年間、沖縄県民健康・栄養調査の疫学委員長を務め、長寿世界一の維持が問題になってからは、その復活を目指す有識者懇談会の委員でもあった国立健康・栄養研究所理事長の渡邊昌氏はこう語る。

　沖縄の復帰前、長寿で有名になり始めたころの昭和40年代に、疫学調査をしたある有名教授は、豚肉の消費量が多いので、豚肉が長寿の元だという説を出したが、誤りだった、と率直に認めた。その理由は、食習慣の変化による影響が30年ぐらいたたないと結果につながってこないことにある。疫学研究の用語で「ラグタイム(潜伏期間)」を考えていなかったのだ。

　1980年に、沖縄住民の年代別に調べたところ、明治生まれの人は確かに日本一長寿だったが、大正生まれでは全国平均レベルとなって、昭和生まれは、すでに平均以下になっていた。

　だから、「10年後には大変なことになる」、と予想した通り、男性が2000年に26位に急落した。沖縄は米国の統治下にあった時代が長いので、食生活も欧米化され、ランチョンミートなど、動物脂肪の多い缶詰や、揚げ菓子がよく食べられている。こうした食生活を長年続けてきたことと、電車など交通機関が少なく、すべて車に頼る生活が肥満原因となった。そのほか、夕食後も飲食をする人が多いなど、人のライフスタイルも問題だ。個人の生活習慣のみでなく、生活環境そのものを変えていくことが大切だ。

　ともかく県知事の肝いりで「長寿危機緊急アピール」を出し、住民も全県挙げて問題点を洗い出しつつ、健康づくりに取り組んでいる。沖縄県だけの問題ではない。日本人全体では、「世界一長寿沖縄」と同じような状況下にいつ陥るともかぎらないほど問題点があることを認識しておく必要がある。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

　
<b>■伝統野菜に降圧効果　米統治期に「栄養転換」</b>

　沖縄の野菜など伝統の食材が健康を保持し、生活習慣病の予防に効果があるかどうかを検証する「チャンプルースタディー」を琉球大学医学部の等々力英美准教授らの研究グループが続けている。これまでの研究で血圧を下げるなどの効果が見られたほか、沖縄の歴史の推移にもとづく食環境の変化が健康に大きな影響を与えていることも明らかになった。

　沖縄県の平均寿命は、昭和60年まで男女ともに全国1位だったが、平成12年の厚生労働省の調査でいきなり男性が4位(平成2年)から26位に転落してからは横ばい状態で、県を挙げて元の健康レベルへの回復を目指している。健康状態が悪化した背景には、米国の統治から本土復帰へと政治状況が変わるとともに、戦前の沖縄の伝統料理から、欧米文化の融合した高脂肪の食生活へと移っていったことがあるとみられる。こうしたことから「チャンプルースタディー」は、沖縄の伝統料理を現代風にアレンジして「長寿再生」につながることを示し、メタボリックシンドロームなど生活習慣病の予防に役立てようというのがねらいだ。

　研究方法はゴーヤー(にがうり)、ハンダマ(水前寺菜)、シマナー(からし菜)など沖縄の伝統野菜をふんだんに使った「沖縄食」を用意し、沖縄の女性、夫婦、米国人、首都圏の中年夫婦に2週間?4週間食べてもらい、血圧や血液、尿中の成分の変化、動脈硬化の程度などを調べた。

　その結果、血圧が低下し、体重も減少したのをはじめ、ビタミンCなどの抗酸化栄養素が上昇した。

　等々力准教授は「収縮期高血圧で140mHg以上のヒトの集団全体の平均値が3％下がると、4分の1の人が高血圧を防げるという予測があり、降圧剤の費用の大幅な節減ができる。運動療法を加えると、さらに改善できるだろう。今回は食事をきっかけに、生活習慣全体の行動変容につながる可能性があることがわかった」と話す。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

　沖縄は30〜40歳代を中心に肥満が増え、心筋梗塞などの増加が、平均寿命の延びを下げている。このような状況はどのような食環境の推移が背景にあるのだろうか。

　等々力准教授は、沖縄県民健康・栄養調査などのデータをもとに栄養状況の変化を調べた。その結果、食事で摂取する総カロリーのうち、脂肪が占める割合(エネルギー比率)が厚生労働省が上限値としている25％を超える「栄養転換」の時点が、沖縄県では1970年で、全国平均(1980年)に比べて、10年早いことが分かった。

　これは沖縄の戦後史と符合している。沖縄は27年間米国の統治下に置かれた。昭和47年に本土復帰している。この間、米軍により洋風の食事が広まり、本土より10年早く、60年代にファストフード店が登場した。本土では、50年代から景気が上向き70年代半ばまで高度成長が続くとともに、食生活が次第に洋風化されていく。このギャップが栄養転換の時期の差となった、とみられる。

　等々力准教授は「高齢世代の死亡率は全国より低く、100歳以上の超高齢者の人数も全国一。小さいときから、欧米型の食事を摂取していた若年者の死亡率が増えているのが、平均寿命の延びを下げているのでしょう」と分析する。

　それでは、長寿の高齢者が戦前に食べていたよい食材にはどのようなものがあるのだろうか。

　等々力准教授が沖縄食の特徴として示すのはかつお節。購入量は断然の全国一で料理に使うほか、降圧作用を示し、沖縄では昔から風邪ひきなどの際に飲む。一方、昆布は、購入量が昭和63年までは全国一だったが平成5年以降は急速に減っていて、若者の伝統食離れを表している。繊維質が多いサトウキビ、本土にはないゴーヤーなどの緑黄色野菜や、タンパク質などが多い沖縄豆腐もある。食塩の摂取量は一日約9・1グラムで全国平均の7割しかない。

　等々力准教授は「沖縄の食材の良い点を科学的に評価していくことが、現代の食生活を検証するうえでも大切」と話している。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

<b>■市民の胃袋</b>

　沖縄県那覇市の公設市場は、特産の食材が山積みにされた市民の胃袋だ。ゴーヤーなど緑黄野菜に交じって、北欧・米国から輸入したランチョンミート、脂身を残した三枚肉(豚肉)など高脂肪の食材もふんだんにある。高温多湿で保存が利きにくいこともあって、揚げものも多い。階上は食堂街で、買ったばかりの食材を料理してくれるとあって、観光客も沖縄の食を求めて多数訪れる。健康食と肥満の原因になる食が混在している。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

<b>■お年寄りの食事を見習う事が大切</b>

　沖縄県の伝統料理本来の素材の良さや味わいを生かして、無理せずダイエットできる食事をつくろうと宜野湾市在住の管理栄養士、宇栄原(うえはら)千春さんが手引書の出版など普及に取り組んでいる。

　宇栄原さんは、米国留学後に沖縄に帰り、地元の食事が欧米化しているのが肥満の増加の原因と気づき、管理栄養士の資格を取り、病院勤務のかたわら沖縄の食事を研究した。

　昨年、出版した「おきなわカロリーブック」でゴーヤーチャンプルーなど沖縄の特徴的な料理やファストフード、お菓子についてそれぞれカロリー表示し、カロリーを取りすぎないように呼びかけた。4版を重ねるほど好評だった。さらに今年出版の「手ばかりダイエット」では、料理になれた主婦が計量器を使わずに手で測る簡便な方法を伝授。肉、魚は片手のひらに乗る大きさ▽ご飯は両手で包み込める茶碗に盛る▽お菓子は親指とひとさし指で作った輪に入る程度と、減量を達成できる素材の量の目安を示した。また、コンビニと提携し一食450キロカロリー以下の「弁当」も作っている。

　宇栄原さんは「食べてはいけない食品は基本的にはありませんが、栄養のバランスは必要です。ビタミン類が多いゴーヤーやニーベラ(へちま)など緑黄野菜を食べ、沖縄の70歳以上の長寿のお年寄りの食事を見習うことが大切」と話している。

<div align="right">(2008/10/23)</div> 
<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/10/13_2.html" target="_blank">沖縄特集(2/3)へ ＞＞＞</A></div>]]>
      
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   <title>【メタボリックシンドローム撲滅運動】沖縄特集(2/3)　■メタボ診断は効果的な方法</title>
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   <published>2008-10-23T02:18:19Z</published>
   <updated>2008-10-24T02:44:50Z</updated>
   
   <summary>■内臓型肥満を減らすのが最重要課題 　琉球大学医学部の島袋充生(みちお)講師は、長年、肥満・糖尿病と心臓病の関係を研究してきた。現在は、現場の保健師、栄養士らと沖縄のメタボリックシンドローム撲滅の活動を展開している。 　「必ずしも沖縄だけの問題ではない。沖縄での寿命短縮には、若年者からの肥満が関係す...</summary>
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      <![CDATA[<b>■内臓型肥満を減らすのが最重要課題</b>

　琉球大学医学部の島袋充生(みちお)講師は、長年、肥満・糖尿病と心臓病の関係を研究してきた。現在は、現場の保健師、栄養士らと沖縄のメタボリックシンドローム撲滅の活動を展開している。

　「必ずしも沖縄だけの問題ではない。沖縄での寿命短縮には、若年者からの肥満が関係する。肥満から糖尿病(境界型の耐糖能異常も含む)、心臓病(心筋梗塞など心血管病)と進む、『欧米型疾病構造』への変化がみられる」と島袋講師は語る。

　島袋講師は、心臓病専門医だったが、米国留学時代に、肥満・糖尿病による心臓病の多さに衝撃をうけた。欧米型の食生活が早くから進んだ沖縄でも、心臓病が増えると考え、10年前に腹囲の測定を含む心臓病のスクリーニングを開始した。

　その結果、肥満が心筋梗塞の最大の原因となることが明らかとなった。糖尿病自体よりも、糖尿病をおこす前のメタボの段階での発症が多いということなのだ。さらに通常、重要とされる「高LDLコレステロール血症」は、男性心筋梗塞患者の半分でしかみられない。一方、血糖値(随時)が140から200mg/dLの、少し高めの人が男女とも85％を占めた。その大半がメタボリックシンドロームとも診断される。

　「肥満と糖尿病は当然関係する。ただし、肥満と関係した糖尿病・耐糖能異常には、糖負荷試験をしてはじめて見つかる初期糖尿病や食後だけ高い『食後高血糖』、あるいは血糖が高くなくても高インスリン血症を示す状態の『インスリン抵抗性』と、さまざまな段階がある。沖縄県ではすでに20年前から、肥満がさまざまな程度に、糖尿病・耐糖能異常に関係していたのです」と島袋講師は説明する。

　心臓の血管(冠状動脈)に狭窄(きょうさく)がなくても一過性に心臓発作をおこす例があり、古くから『冠状動脈攣縮(れんしゅく)性狭心症』と呼ばれた。原因が不明なため、心臓シンドロームX(不明の意味)とも呼ばれたことがある。島袋講師らは、肥満を基盤とする危険因子の重積(現在のメタボリックシンドローム)が、冠状動脈攣縮の原因となることを、沖縄の肥満症例で明らかにし、米国循環器学会雑誌(1995年)にも報告されている。

　肥満が原因で起こる心筋梗塞は、糖尿病が発症する前から起こることが多く、治療のきっかけがつかみにくい。結局、肥満のある人すべてが悪いのではなくて、インスリンの効きが悪い「インスリン抵抗性」を有する肥満が問題となるのだ。

　「インスリン抵抗性」はほとんどの場合、肝臓や筋肉に脂肪がたまった状態で起こる。島袋講師はこれを「脂肪毒性」という言葉で説明する。内臓肥満とインスリン抵抗性とは非常に近い存在だという。内臓脂肪にたまった脂肪は、(遊離)脂肪酸として血液に大量に放出され、肝臓・筋肉で、「インスリン抵抗性」を起こし、膵臓ではインスリン分泌も障害する。これらが、肥満を原因とする糖尿病発症に深く関係する。脂肪酸は血管機能を直接障害することも知られており、島袋講師は、「血管脂肪毒性」が心筋梗塞の発症に関係する可能性を指摘する。

　沖縄県では男性(40歳以上)の64％が「腹部肥満」とされる。その中でインスリン抵抗性のある、本当に問題のある肥満をどう見つけ出すかが肝心なのだ。「メタボリックシンドロームの診断基準は、健診や外来で、インスリン抵抗性のある肥満を見つける効果的な方法でもある」と島袋講師は話す。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

　島袋講師は、沖縄で心筋梗塞など心血管病を起こしやすい人のパターンとして、(1)喫煙型(2)高コレステロール血症型(3)加齢型(4)メタボリックシンドローム型の4つを挙げる。パターン別に、個人のライフスタイルに合わせてアプローチすることが予防に有効だろうと指摘する。

　主要先進国、日本全国と沖縄の平均寿命の推移を比較すると、女性では1975年に、全国平均より6歳上だったのが、徐々に差が縮まり2005年にはかろうじて1位を保っている状態だ。一方、男性は2000年に全国平均と同程度となり、2002年には、全国平均よりも落ち込み、今後さらに下がる見通し。

　死因別では、欧米型では心筋梗塞が一番多く、アジア型は脳卒中となる。急性心筋梗塞による死亡は、日本の全国平均では30年前に比べほぼ半分近くに減ってきたが、沖縄は、増加傾向。脳梗塞・脳出血は、全国ではともに劇的に下がっているが、沖縄では15年前から脳梗塞と心筋梗塞の比率が1対1と欧米型に近い。

　もうひとつの沖縄の疾病構造の特徴は、肺がんと大腸がんが多いこと。「これも欧米型に近く脂肪摂取と大いに関係があるだろう」と島袋講師は指摘する。

　沖縄では全摂取エネルギーに占める脂肪の割合(厚労省・国民健康栄養調査)が、60年前から一貫して全国平均より5〜6％多く、1965年あたりから、厚労省の推奨値25％を大きく上回っている。同時にBMI(体格指数)の推移も、1980年、60歳代男性平均22.0だったのが、2000年には23.5を超えた。腹囲径では現在、男性(40歳以上)85センチ以上が平成18年度で全国平均55.8％に対し、沖縄は67.4％。女性(40歳以上)の腹囲90センチ以上は全国22％▽沖縄35.1％と多い。

　メタボの頻度も、男性(40歳以上)では30％前後あり、特に30歳代、40歳代の割合が全国平均を大きく上回っている。女性は、60歳代でも10％に満たない。

　メタボの診断基準については、「関連学会で十分な議論がなされている。男性と女性では、何を目的にするかで基準値が変わる。例えば糖尿病を防ぐ目的ならば女性90センチでなく、80あるいは75がいいかもしれない。一方、心筋梗塞を効率よく予防するには、90センチで十分かもしれない。メタボの診断基準には、それぞれに妥当性があると思うのです」と語った。

　今回の特定健診・保健指導については、「メタボの概念に合わせて、各人の総合的な心臓血管リスクを評価する必要がある。それぞれの病態に合わせて介入するうえで、内臓肥満症の有無を考慮にいれるのは、合理的なアプローチ」と評価する。実際、島袋講師自身、一次健診・二次健診、あるいは心臓病発症リスクのある症例に対し、地域の保健師や管理栄養士らと協働で、効果的なアプローチの方法を模索している。

<div align="right">(2008/10/23)</div> 

<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/10/23_1.html" target="_blank">沖縄特集(3/3)へ ＞＞＞</A></div>]]>
      
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   <title>【メタボリックシンドローム撲滅運動】沖縄特集(3/3)　■全県民対象に生活習慣の改善を徹底</title>
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   <published>2008-10-23T02:15:52Z</published>
   <updated>2008-10-24T02:42:03Z</updated>
   
   <summary>　長年日本一を誇っていた沖縄県が、平成12年に突然、男性の寿命が26位に。「沖縄・26ショック」といわれるほど県民の衝撃は大きく、復興への県民挙げての取り組みは、全国の健康キャンペーンの先駆けとなった。「健康おきなわ21」を推進する沖縄県健康増進課の大城馨班長は対策プランについて説明する。 　「健康...</summary>
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      <![CDATA[　長年日本一を誇っていた沖縄県が、平成12年に突然、男性の寿命が26位に。「沖縄・26ショック」といわれるほど県民の衝撃は大きく、復興への県民挙げての取り組みは、全国の健康キャンペーンの先駆けとなった。「健康おきなわ21」を推進する沖縄県健康増進課の大城馨班長は対策プランについて説明する。

　「健康長寿県沖縄」というイメージは、観光産業などを支えるキーワードともなっていた。それだけに、平成19年に男女とも平均寿命の延びが全国平均を下回る事態に県では、長寿県復活に向けて行動計画を策定した。

　全体目標は、「早世の予防」と「健康寿命の延伸」で、具体的には、「チャーガンジュー(いつも元気で)おきなわ9カ条」と銘打って、メタボリックシンドロームの考え方を導入したうえでまず、全県民を対象として生活習慣の改善を徹底する。次に国保、組合健保など医療保険者による「特定健康診査」でメタボの該当者と予備群を把握して、ハイリスクの人には、特定保健指導を行う。さらに、糖尿病、高血圧、がんなどの投薬治療を行うといった医療計画を併せて進め、総合的に長寿を底上げしていこうという作戦だ。アクションプランでは、各種団体・自主サークル・NPOなども「応援団」に加えて、県民挙げての支援態勢を整えている。

　どこまで周知徹底できるかが、成功のカギとなるが、大城班長は「県の方で一括して応援団を募り、県民にも広く情報提供を呼びかけていく」と語る。

　今、取り組んでいるのは、食事バランスガイドの沖縄版。沖縄独特のイナムドウチ(沖縄風みそ汁)など、郷土食の勧めを主に、カロリーの過剰摂取を戒める内容で、約3000人の県庁全職員に対し、日々の食事のチェックシートを配って1週間後に申告させることにしている。

　ユニークな試みとして、北部の高校では、生徒自身が栄養バランスを考えた弁当を自作している。「ヤンバル甲子園」としてその内容を競うコンテストを開催する。運動に関しても宜野湾市では、歌に合わせてカーチャーシという沖縄独特の振り付け体操を推奨している。

　特定健診・保健指導にあたっては、悩みも多い。市町村の住民健診率は、全国平均が43％なのに対し、沖縄17年度28・5％とかなり低い。県や国の健康・栄養調査の結果でも、BMI25以上の肥満者の割合がほぼすべての世代で全国平均を上回り、特に男性は20歳代で3割を超えている。

　大城班長は、「チャーガンジューおきなわ9カ条には、実際に行動に移すための具体的な目標を盛り込んだ。一番の目標は、平均寿命を延ばそうということで、メタボの減少数は前期目標(平成24年度)10％減としているが、メタボ対策だけに限らず、長寿復活を最大の目標に懸命に取り組んでいます」と語っている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

<b>■保健師・健診センター・病院　画期的な連携システム</b>

　沖縄県で最も早くメタボの保健活動に取り組んだのが、沖縄県国民健康保険団体連合会(国保連合会)と南部地区(南城市、与那原町、南風原町)の保健師、栄養士ら。健診センターと病院の3者がネットワークを作り、健診データを共有して、十分に解析するという画期的なシステムに発展している。

　「平成12年からの長野県保健師との勉強会が、本格的に取り組むきっかけでした。沖縄県の医療費の高騰を目の辺りにしており、レセプト分析や医療費との突合(とつごう)といった長野県での先進的な試みに大変刺激をうけました。実際に分析してみたら沖縄ではこんな大変なことが起きていたのかと、ショックも受けました」と国保連合会事業課の新里成美さん。

　県は自営業が多く、沖縄国民健康保険の加入者が半分近くを占める。企業の組合健保による定期健診を受ける環境にはない。南城市役所健康課の井上優子さんは、「結局、私たち自身が健診データの読み取りもせず、生かし切れていないことに気付いたのです。すでに発症した人や健診を受けてもほったらかしの人など、データを見て予防が可能か学習するうち、介入の方法がつかめてきた気がします」と打ち明ける。

　高額な公費医療を受けるのは、腎臓透析や急性心筋梗塞だが、発症した人は健診を受けておらず放置している人がほとんどだった。「これではいくら保健指導をしても、医療費削減につながらない。しっかり健診に来てもらい、予防あるいは治療にいかす。そういう意識をいかに持ってもらうかで苦心しています」と話す。

　受診率を上げるための努力はすさまじい。「嘱託も入れて、1人当たり五、六百人を担当します。未受診者には、電話や個別に訪問したり、各団体にも集まってもらったり、家庭に伺ったとき、健診データを家族と一緒に見てもらったりもします。特に沖縄は、若いときからも肥満が増える傾向にあり、20歳から健診を始めています」と新里さん。

　実は南部地区では、受診者一人ひとりの詳細なデータを分厚いファイルにまとめている。それを持って各人の必要な部分をピックアップして、説明に当たる。井上さんは「健診結果が何を意味しているか、自分の体にどういう変化が起きているか、自分なりにわかってくれば、健診を受けるという行動変容にもつながるし受診率も上がると思うのです」。

　「26ショック」ともいわれる沖縄の長寿の急激な低下。一体何が問題なのか。

　高脂肪食、動かない、飲酒が主な原因で、南風原町保健福祉課の具志堅志保さんは、「共働きが多いため外食をよくする。米軍が持ち込んだ米国の食文化の影響が大きい。ファストフードが早期に入り、粉ミルクの消費も全国1位。魚も揚げるものだと思っていたし、輪ゴムが持ち上がるくらい厚い弁当も、学校で生徒目当てに売りに来る」と説明する。

　「基地で働く人が多いせいか、70代の人でも大きなステーキを平らげるし、ファストフードも好物です」と井上さん。

　沖縄は、カロリー自体は少ないが、脂肪摂取率が格段に多い。「沖縄の伝統食は悪いものでもなく、むしろ健康的でしたが、例えば、ゴーヤーチャンプルを作る際に、以前は、かつおだしにゴーヤーとお豆腐だけだったのが、このごろは、豚肉や卵なども混ぜて作る。豚足だとか、昔ははれの日しか食べなかったようなものが、普通に食べられるようになった」と南風原町役場健康保険課の伊集京美さん。

　「4月から始まった特定健診がチャンスだと思っています。健診データを基にフォローして、少しでも良くなるように、継続させるなど、正攻法で具体的に進めていけば希望も出てくると思うのです」と南風原町役場福祉保健課の真謝雅代さんは話している。

<div align="right">(2008/10/23)</div> 
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   <title>【正論】 心筋梗塞・脳卒中で「死なせなくする」ために(1/2)</title>
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   <published>2008-10-16T04:23:37Z</published>
   <updated>2008-10-16T06:58:26Z</updated>
   
   <summary>“働く世代のメタボ対策と特定健診受診向上に奔走する現場の奮闘記” 　メタボリックシンドロームの概念に基づき、今年４月にスタートした特定健診・特定保健指導。健康保険組合（健保）、国民健康保険（国保）といった医療保険者ごとに実施し、５年後には受診率65％などの目標値を達成したかどうかによって、後期高齢者...</summary>
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      <![CDATA[<b>“働く世代のメタボ対策と特定健診受診向上に奔走する現場の奮闘記”</b><br><br>

　メタボリックシンドロームの概念に基づき、今年４月にスタートした特定健診・特定保健指導。健康保険組合（健保）、国民健康保険（国保）といった医療保険者ごとに実施し、５年後には受診率65％などの目標値を達成したかどうかによって、後期高齢者医療制度への支援金の額が増減される。職域や地域の健診の現場ではどのように取り組んでいるのか。産業医としてメタボリックシンドロームに着目してきたみずほ大阪健康開発センター所長・廣部一彦氏と、ユニークな活動を展開する尼崎市国保年金課の保健師・野口緑氏に聞いた。<br>

<b>「働き盛り世代が最重点」</b>
<div align="right">みずほ大阪健康開発センター所長　廣部一彦<br></div>

　マスコミが特定健診のことを「メタボ健診」と名づけたこともあって、メタボリックシンドロームそのものと特定健診・特定保健指導が混同され、正しく理解されていないようですが、両者は分けて考えるべきです。<br>
　メタボリックシンドロームはまさに予防医学の学問。世界に認められた日本発の概念です。それまで注目されてきた体重や皮下脂肪ではなくて、内臓に脂肪が貯まりすぎることが脂質異常、糖尿病そして高血圧を発症または増悪し、心筋梗塞・脳卒中につながりやすくなるというものです。特に内臓脂肪細胞から多く分泌されるホルモン様物質、アディポネクチンが発見されたことが大きい。これは内臓脂肪蓄積によって減少し、２型糖尿病や動脈硬化の発症に密接にかかわっていることが分かったのです。<br><br>

　一方、特定健診・保健指導は国の施策。厚生労働省が今までの施策を大きく変換し、メタボリックシンドロームの概念を取り入れてスタートしたわけですが、医療関係者や保険者そして何よりも国民に必ずしも十分に理解されないまま今年４月の開始となりました。制度設計も十分に吟味する時間がなかったと思われますが、まだまだ課題も多い。医療関係者や保険者も対応に戸惑っているところがあります。<br><br>

　職域では、労働安全衛生法による定期健康診断があり、事業者（企業）責任で実施義務がありますし、また若い人も含めすべての労働者に受診義務もあります。そして法定項目として今年度から腹囲測定とLDLコレステロールが追加になりました。一方、特定健診は40〜74歳を対象に高齢者医療確保法に基づき保険者が実施するものですが、健診を2回受けることを避けるため、事業者が定期健康診断結果の必要データを特定健診データとして保険者（健保組合）に渡すことが可能となりました。<br>
　私は事業所の産業医なので定期健康診断やその後の保健指導が中心で、健保が実施する特定健診には直接関与していないのですが、長年こうした事業所でかかわってきた心血管疾患の一次予防において、メタボリックシンドロームは明確なターゲットを示してくれました。最重点は働き盛りの男性です。<br>

<b>○メタボはリバーシブル</b><br><br>

　ここ20年、30代から50代の日本人男性の体重が増え続けています。腹囲も増え、脂質異常症、糖尿病が増加しています。逆に女性はこの世代では体重は減っている。また、わが国では心筋梗塞の死亡率は、50代では男性は女性の約５倍。60代でも約3倍、70代でも約2倍と圧倒的に男性が多い。やはり心筋梗塞は男性の問題なのです。<br>
　男性の腹囲は20代から40代に平均で約8センチ増え、内臓脂肪も約40平方センチ増えます。そして糖尿病や高脂血症の増加傾向と、もともと心筋梗塞は男性中心の疾患となると、まさに働く世代の男性がメタボ対策の一番のターゲットです。女性も主として更年期以降に内臓脂肪が貯まってきますが、男性より10〜15年くらい遅れ、ちょうど動脈硬化が10〜15年遅れるのと一致しています。予防医学としてのメタボリックシンドローム対策のコストをどこにかけるべきか明らかですし、選択と集中が必要でしょう。<br>
　メタボリックシンドロームは、われわれ産業医の世界ではとても重要な概念だと思います。45歳と55歳で体重はほとんど変わらないけれど、お腹だけは出てきたという人はたくさんいる。そして血糖や中性脂肪が増加して来ます。皮下脂肪があまり増減しないので腹囲の増減はほぼ内臓脂肪の増減と考えてよいわけです。だから体重だけではなく腹囲によって内臓脂肪蓄積をチェックするという点が、重要なところですね。腹囲はベルトの感覚で分かってとてもいい。<br><br>

　今回、腹囲は定期健診の項目にも入りましたが、私たちは以前から一部の職員を対象に腹囲と内臓脂肪量を測定しその場で簡単な保健指導をしています。定期健診時に毎年測ることで効果がある。それが動機付けになって、3年で2〜3割メタボが減ったというデータもあります。内臓脂肪の蓄積は生活習慣と密接に関係します。しかしメタボになったら病気でどんどん進行するというのではなく、食事や運動などの生活習慣改善によってよくなります。リバーシブル（可逆的）だというところが重要です。それまで服用していた薬が減量できたりいらなくなるケースもあります。<br>
　ただ、痩せていても糖尿病や高血圧の人はたくさんいます。もちろん生活習慣の改善は必要ですが、これらの人はその効果が限定的であり、程度によっては服薬などの医療的な対応が必要になります。<br><br>

<b>○健診受診で死亡率が半減</b><br><br>

　専属産業医の全国組織（サンユー会）が、在職死亡調査をしています。それによると、専属産業医がいる従業員千人以上の大企業では、心筋梗塞など循環器系疾患の死亡率が一般国民全体の約半分にとどまっています。心血管疾患が予防ができているということ。<br>
　予防できる理由は何かというと、まず毎年健診を受けていることなのです。千人以上の事業所の定期健診実施率は100％、受診率は95％で、ほぼ全員が毎年受けている。日本で圧倒的に多い30人未満の小企業でも、実施率80％、受診率70％以上です。一方、国保加入の地域住民レベルでは、従来、自治体が実施していた基本健診受診率が42.4％（平成18年度）。これは受診率の高い高齢者を含んだ数字ですから、30代、40代となると20〜30％くらいでしょう。このように働く世代の健診受診率の格差が非常に大きい。<br>
　また産業医や看護職の保健指導効果なども大きいでしょう。定期健診後の保健指導は努力義務ではありますが、少なくとも結果通知時の保健指導はほぼ全員に毎年行われています。そういう意味では、特定健診・保健指導の本当のターゲットは地域住民（国保加入者など）だと思います。今回の特定健診・保健指導の開始で受診者が大幅に増えることが期待されています。<br><br>

　最後に、今回の特定健診・保健指導に関してですが、メタボリックシンドロームの概念を取り入れて、保健指導効果の大きい人（内臓脂肪が貯まった人）を抽出し、その人達に重点的に保健指導を実施していくという理念は正しいと思います。ただし、国民全体で見たときに、まずどこに重点的に費用を投
入するかでしょう。まずは健診を受けていただかなければ話になりませんので、最も受診率の低い国保加入者などの地域住民対策が重要です。保健指導対象者の抽出基準でも、血糖値100mg/dL以上というのは、あまりに幅を広げすぎなのではないか。抽出基準といっても糖尿病学会基準や定期健診基準値の110mg/dLとのあいだで、国民や医療従事者に混乱が生じています。もう少し現実的にターゲットを絞って、コストと結果のバランスを考え、国民生活に定着させていくべきでしょう。特定健診・保健指導は2年後、見直しが行われることになっています。費用対効果も考え、国民の目線に立った改善がなされることに期待したいと思います。<br><br>

■廣部一彦氏　昭和22年生まれ。大阪大医学部卒。同大付属病院助手などを経て、昭和58年から旧富士銀行大阪健康管理センター所長。現在、みずほ大阪健康開発センター所長、日本産業衛生学会指導医、日本動脈硬化学会評議員。日本肥満学会評議員。

<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/10/_22_1.html" target="_blank">心筋梗塞・脳卒中で「死なせなくする」ために(2/2)＞＞</A></div>
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   <title>【正論】 心筋梗塞・脳卒中で「死なせなくする」ために(2/2)</title>
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   <published>2008-10-16T04:20:27Z</published>
   <updated>2008-10-16T07:00:35Z</updated>
   
   <summary>「ヘルスアップ尼崎戦略」 尼崎市国保年金課健康支援推進担当・保健師 野口　緑 　国の施策が始まる前から、尼崎市独自で「ヘルスアップ尼崎戦略」に取り組んでいます。事業は平成18年度から始まりましたが、事業を始める前の平成17年度に予防のターゲットを定めるため、まず国保の被保険者の健康実態を分析しました...</summary>
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      <![CDATA[<b>「ヘルスアップ尼崎戦略」</b>
<div align="right">尼崎市国保年金課健康支援推進担当・保健師 野口　緑</div><br>


　国の施策が始まる前から、尼崎市独自で「ヘルスアップ尼崎戦略」に取り組んでいます。事業は平成18年度から始まりましたが、事業を始める前の平成17年度に予防のターゲットを定めるため、まず国保の被保険者の健康実態を分析しました。その結果、尼崎は兵庫県内でも平均寿命が短く、若い人の死亡割合が高いことが分かりました。<br><br>

　平均寿命（平成12年）は兵庫県下88市区町の下から3番目（男性76.3歳）と6番目（女性83.6歳）、65歳未満で死亡する人の割合（同15年）はトップ（男性30.4％）と6番目（女性16.3％）。その理由を調べてみると、死因の4割ががん、次いで生活習慣病にかかるものが2割でした。65歳未満で死んでいる人の2割が生活習慣に関係する病気、脳卒中や心筋梗塞、大動脈解離、糖尿病などが原因だとしたら、生活習慣の改善支援によって予防でき、死ななくてすむということなのです。<br><br>

　65歳未満で介護保険を受けている人を見ても、6割以上が生活習慣病でした。倒れる人を減らせば介護保険給付が減り、社会保障制度を堅持できる。国保の医療費を調べても、1回あたり200万円以上の請求がきているものは、脳卒中、心筋梗塞などの血管病が大半。がんより医療費が高いんです。がんは210万から230万円。ところが心筋梗塞で運ばれてステントを入れて帰ってくると、平均で350万円くらい。大動脈解離にいたっては、一番高い人で1400万円かかっています。もちろん、それだけ高度医療が進んでいるのはありがたいことですが、予防できる病気ならもっと早い段階で手を打ちたい。
　人工透析も12年ごろから新規導入者が毎年100人ずつ増えている。1人平均年間550万円なので、100人増えるだけで5億5,000万円。人工透析はすばらしい治療法ですが、糖尿病性ならばこれも予防可能です。<br><br>

　さまざまなデータが予防の重要性を示しています。糖尿病による人工透析が増えている年代は50から60代。放置すると20年目くらいに人工透析が必要となる腎不全に至ることが知られているので、予防年齢を逆算すると30から40歳代になります。ところがレセプトを調べると、自覚症状がようやく出だす3、4年前からしか受診していない。血管障害を起こしている人も同じこと。自覚症状がないので健診結果でしか分からない。とにかく若い世代に健診を受けてもらい予防していくことに尽きます。<br><br>

<b>○受診率アップを</b><br><br>

　ヘルスアップ尼崎戦略の初年度（18年度）は、特定健診対象者に当たる40〜74歳の国保加入者の受診率が19％でした。健診を受けてくれないと生活習慣改善によって予防が可能な人と出会えない。そこで受診率向上のため、商工会議所とタイアップして、酒販組合や商店組合の集まり、神社仏閣の総会など、国保である可能性が高いと思うあらゆる団体を回って、「予防が可能な人が倒れている尼崎の実態」や「なぜ今健診なのか」などについてお話しさせていただきました。ところが商店街の単位などは自営業の集まりだから、ほとんど国保だと思っていたら、アンケートを採ると国保の人は5、6割しかいない。雇われている方は社保の家族だったり、小さな人数でもお店自体を社会保険にしていたり、結局、地域は国保とか社保とか切り分けて生活していないことが分かったんです。<br><br>

　そこで翌19年度には社会福祉協議会、いわゆる町内会の集まりを回りました。膝を交えてお話しするなかで、健診の重要性について理解が深まり「今度うちの会合にも来て」と声をかけてくださることも増え、土曜日曜も、ダブルヘッダー、トリプルヘッダーお構いなしで市内のおよそ６割をカバーしました。早死にでメタボリックシンドロームの人が国と比べて多いという尼崎市民の健康実態をお話しすると、皆さんショックを受けられます。「健康」を単にサービスととらえていたのが、身近な課題になっていきます。19年度が終わった段階で受診率は24％まで上がりました。特定健診では24年度までに65％達成を求められていますが、今年は40％を目標に、以降、50、60、60、65％という５年計画を立てています。達成は大変なことです。<br><br>

　特定健診が始まり、マスコミが情報をたくさん流してくれますし、受診券が1人1枚ずつ来るので、受けなくてはならないという気持ちは盛り上がっています。それに、これまで2年間の積み重ねがボディーブローのようにじわーっと効いてきているのも感じます。<br><br>

　尼崎市では、特定健診はヘルスアップ戦略の項目の一つという位置づけです。特定健診以外にも、独自に16歳から39歳対象の健診をやっていますし、社保から入ってきて、4月1日から3月まで在籍という特定健診対象者の要件を満たしていない人にも健診をしています。<br>
　健診後の保健指導も、対象者が自分の体を理解するのを支援するのが目的。一人一人が健康でいることで、後期高齢者支援金の額の加算減算につながることも話していますし、住民自身がそういうことを知ることで健診、結果説明には価値があると思ってくださった口コミもあると思います。<br><br>

<b>○全員に会って保健指導</b><br><br>

　いらっしゃった方はみなさんよくなっています。国が特定健診ということを言ったので誤解が生じていることもあると思いますが、内臓脂肪があろうがなかろうが、健診を受ける人が増えれば、今まで受けたことがない人がたくさん受診してくれることになるんです。ヘルスアップ戦略の初年度も、20〜40歳代の受診者のうち86％が生まれて初めて受診したという人です。その中に、すさまじいデータがでてくるんですよ。たとえば血圧が240の156とか。もう本当に驚きます。本人は健診を受けたことがないし、その状態が普通と思っていますから。<br><br>

　特定健診で受診率目標値を設定されたことに賛否両論あると思いますが、受診率を上げる努力をすることは、今まで手が届いていなかった人たちをたくさん拾えるということ。それが貴い。保険者ごとに対象が分けられ責任が明確になったので、どこも積極的に受診率を上げてくるでしょう。<br>
　医療費適正化を考えても、内臓脂肪のあるなしにかかわらず、重症の人から指導していかなければならない。重症高血圧でも減量をすれば、6割くらいの割合で血圧が下がっていました。薬だけでなく減量を足したグループが一番改善率がよかったですね。<br>
　うちでは特定保健指導の対象（積極的支援、動機づけ支援）だからということではなく、集団、個別は別にして、リスクに応じて全員に保健指導をしています。血圧と尿酸、血糖、中性脂肪が高ければ痩せていても会わないといけないし、たとえば男性で腹囲84センチと基準内であっても、20歳の時に比べて20キロも太っていたら、出会わなければいけない。健診日に、結果を聞きに来る日を予約してもらうんです。リスクを見て悪い人は個別相談の日に、そうでなければ集団でお話しさせていただきます。<br>
　何のために健診を受けるのか、健診結果はどう読み取っていくのか。何で血の中に中性脂肪や血糖が多いといけないのか。内臓脂肪とはどう関係するのか…。人間の体はある日突然、病気（心筋梗塞や脳卒中）になるわけではなくて、長い年月をかけて少しずつ血管が変化していって、最終的に破綻するわけです。基準値に対して異常か正常かだけで判断すると、体の変化というとらえ方ができなくなる。自分が今どの段階か見られなくなるんですよ。<br><br>

<b>○民間を巻き込んだ環境整備</b><br><br>

　社会保険を脱退して国保に加入してきた方に、新規人工透析導入が多い。高齢になって会社を退職したら国保に変わるから当たり前といえば当たり前なんですけど、若い世代でも糖尿病の合併症を発症するなどで仕事ができなくなると社保を脱退して国保に加入してきています。市民の約4割の国保加入者だけを対象に対策を打っているだけでは、社会保険に加入していた若い世代が国保に加入する年齢になったころに発症する糖尿病合併症や心筋梗塞、脳卒中を予防することができない。つまり、予防がうまくいかなかった結果生じる後期高齢者の医療費を下げ、すべての人が75歳になったときに自分のやりたいことをできるようにするという大きな目標を達成できません。<br><br>

　国保も社保もなくみんなで取り組むため、尼崎市独自で保険者協議会をつくりました。尼崎市に健康保険組合の本部を置く団体や、政府管掌保険はもとより、事業主とも情報共有する目的で商工会議所、他の施策との連携を考えて産業や衛生など市役所の関係部署の人にも入ってもらった。きめ細かい情報交換や、啓発事業を協働で行う枠組み作りです。<br><br>

　そのなかでもユニークなのがサポーター企業事業。事業所などがヘルスアップ戦略の趣旨にあった商品やサービスを考え出してくれたら、私たちが市民にＰＲしますよ、と呼びかけました。弁当屋の尼崎市限定ヘルシー弁当、1食分の野菜がしっかり100g入っているパスタを出す料理店、血圧計を店の隅に置いてくれるドラッグストア、無料で運動指導をしてくれるスポーツクラブ。市民が生活の場で健康や生活習慣を考えるきっかけづくりは、行政だけでなく事業者を巻き込まないと広がらない。<br>

　スポーツジムがジム開放デーに市の出前健診を呼んでくれたこともあります。私たちが努力しなくても、周りの町会やショッピングセンターに呼びかけて受診者を増やしてくれた。その代わり、結果説明は私たちが会場まで出向いてやります。事業者にとっても、市とそういうことをやるのはイメージアップになるんだと思います。行政による助成金や登録、認定ではなく、お互い五分の関係です。<br><br>

<b>○現状と課題</b><br><br>

　尼崎市国保では、5月から特定健診が始まり、6月頃から保健指導を行っています。健診結果により保健指導方法や内容を選別して実施しています。受診しやすい条件づくりとして土曜日、日曜日にも健診を実施しており、保健指導も当然、土日や祝日にも実施しています。保健指導はひたすら毎日やっています。制度が始まったばかりで、組織としての体制作りが大きな課題。民間事業者の保健指導スキルが上がって、結果の出せる保健指導ができる人材が増えれば、介護保険の時と同じように、保健指導を提供する社会的な受け皿ができ、特定健診や保健指導の制度を維持しやすい体制整備ができると思います。<br><br>

　ただ、今回は「サービス提供」ではなく、結果を出さなければいけないのが一番大変なところ。命にかかわることをやっているので、保健指導を受けた人が喜んだり、楽しんだりしたかどうかという問題ではない。確実に死なせなくしたかどうか、が問われるわけですから。長い目で見たら本質的な保健指導を「本当にやった所」と、「やらない所」の差が出てくると思います。<br><br>

　今後の課題は、まずは受診率の向上。それから医療との連携です。重症の人を見つけたとき、地域のどの先生のところに送ったら、確実に脳卒中にならなくてすむのか。予防と医療がうまくリンクして、各々の役割を果たせれば。<br><br>

　あとは私たちの保健指導のスキルアップですね。メタボの原因は生活の中にある。主役は本人なんです。食べる量や回数を減らしなさい、もっと動きなさいと一般論を伝えても、具体的には何が太った原因なのかは分からない。脂肪の蓄積につながる食べ物についてもご飯なのか、間食か、アルコールなのか。知っているのは本人だけ。いかに本人がメタボリックシンドロームと動脈硬化につながるリスクとの関係、メカニズムを理解して、納得できるか。血管が傷んでいく道筋をイメージし、心が動き、自分の生活を振り返って原因を探り当てるか。習慣化した生活のちょっとした改善からでも始めていく決心がつくか。歩く時間が増える、階段を使う頻度が増える、ご飯を一口減らすなど、本人のちょっとした生活習慣の改善が心筋梗塞や脳卒中の予防につながる。それが最終的には何億、何兆円の医療費適正化という成果につながる。地球温暖化を解決しようとするエコ運動と同じように一人ひとりの市民の気づきや習慣が大きな成果を生む、そういう壮大なプロジェクトだと思っています。<br><br>

　痩せることに特効薬はないのです。一人ひとりの生活習慣改善が心筋梗塞や脳卒中を予防できる。どこまで成果が出せるのか、他の国では例のないこの制度は日本人の大きなチャレンジだと思います。<br><br>

■野口緑氏　昭和38年生まれ。61年、尼崎市役所入庁。平成12年から職員厚生課で職員の健康管理を担当。健診データ解析により心臓病や脳卒中のリスクが高い人を選んで保健指導し成果を上げた。17年から現職。

<div align="right">（「正論」平成20年10月号より）</div><br>

<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/10/_12_1.html" target="_blank">心筋梗塞・脳卒中で「死なせなくする」ために(1/2)＞＞</A></div>

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   <title>【検証 メタボリックシンドローム】　若い女性の「やせすぎ」問題</title>
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   <published>2008-10-08T05:55:18Z</published>
   <updated>2008-10-16T06:30:03Z</updated>
   
   <summary>日本学術会議公開講座「気をつけよう!若い女性の『やせすぎ』」より ■子供への悪影響に警鐘 　若い女性の「やせすぎ」が問題となってきた。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)で「太りすぎ」の弊害が注目される中、若い女性の体重はここ十数年下がる一方。むしろやせすぎが進み過ぎて出産の際に「低出生体重児...</summary>
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      <![CDATA[<div align="right">日本学術会議公開講座「気をつけよう!若い女性の『やせすぎ』」より</div>

<b>■子供への悪影響に警鐘</b><br><br>

　若い女性の「やせすぎ」が問題となってきた。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)で「太りすぎ」の弊害が注目される中、若い女性の体重はここ十数年下がる一方。むしろやせすぎが進み過ぎて出産の際に「低出生体重児」が通常の2倍もの確率で生まれやすくなっている。将来その子らには、肥満・糖尿病などの生活習慣病が多発することもわかってきた。9月下旬開かれた「日本学術会議」の公開講座では、骨粗鬆(こつそしょう)症や摂食障害なども含め、若い女性の「やせすぎ」をめぐる深刻な現状が浮き彫りになった。<br><br>

<b>■低出生体重から生活習慣病も</b><br><br>

　この公開講座は、「気をつけよう!若い女性の『やせすぎ』」と題して、9月22日、東京・六本木の日本学術会議講堂で行われた。内分泌・代謝分科会(委員長、松澤佑次・住友病院長)の主催、および厚生労働省・難治性疾患克服研究事業の参画で、産婦人科や内分泌代謝、小児科など専門医5人が一堂に介し、論議した。座長は、倉智博久・山形大教授、小川佳宏・東京医科歯科大教授。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

　三重大学産婦人科の佐川典正教授は、「『小さく産んで大きく育てる』は正しくない」をテーマに、低出生体重児は、成長に伴い生活習慣病が発症しやすくなることを欧米の疫学研究に基づいて解説した。<br><br>

　最初の報告は1976年に発表された。第二次世界大戦のオランダでナチスの占領地域では、そうでない地域の人の3分の1の700キロカロリーしか取れない時代が続いた。「30年後、30歳になった両地域の人たちの肥満度を比較したところ、妊娠中の母体が低栄養で産まれた子供は大きくなって肥満が有意に多くなり、妊娠中は正常で授乳期に低栄養であった場合は、逆に肥満が少なかった」と佐川教授。<br><br>

　その10年後には、英国のバーカー博士が、出生児の体重が2,500グラム以下の子供は、4,000グラムの子供に比べ成人になってから、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧など生活習慣病になりやすい比率が6倍にもなる、出生児の体重が小さいほど成人期に脳卒中など虚血性疾患による死亡率が高い、など、いわゆる「バーカー仮説」を報告した。その結果、胎児期にその人の将来の健康状態が決まるという「胎児プログラミング」の概念が提唱されてきたのである。<br><br>

　低栄養による、そういう弊害がなぜ起こるのか。「胎児の発育は母体の栄養状態、子宮の血流の量、胎盤での物質輸送能力などの要素で決まるが、総体的に胎児が発育するのに必要な要求量よりも胎盤の供給量が少ないときに胎児が低栄養になる」という。そこで、「胎児は生き残るためにいろいろ自分で適応していく。低酸素や低栄養に対しては血流の再配分や代謝調節などで適応し、生き延びようとする。すなわち少ない栄養で生きていけるように倹約型の体質になる」と説明する。ところが、子宮の中では適応できたが、出産後は、粉ミルクをたくさん飲まされるなどして過栄養に陥ってしまう。倹約型にとっては「過適応」になり肥満になると考えられている。<br><br>

　母体の栄養を3割カットしたモデルマウスの実験では、80％ぐらい小さい体重の仔(こ)が産まれるが、およそ2〜3週間で追いつく。これを「キャッチ・アップ」といい、3週間以降、普通食で飼育すると大人になってから体重差はなくなる。ところが高脂肪食を食べさせると、小さく産まれたマウスは太りやすい体質になる。<br><br>

　なぜ、太るのか？注目されたのは、脂肪細胞から放出されるレプチンというホルモン。このホルモンは脳内の「視床下部」という中枢に働き、エネルギーの代謝調節の作用がある。こうした研究から、佐川教授は、「新生児期に小さく産まれた子供は、キャッチ・アップの際、レプチンが少し早めに出ることで代謝調節系を変調させ、体重減少が起こりにくくなる。こうした一連のメカニズムが刷り込まれて、太りやすくなる体質の主要な因子になるのだろう」と強調する。<br><br>

　このマウスは、8週目ぐらいに高血圧になり、インスリンの感受性も悪くなって高血糖、脂質異常に陥る。いわばメタボリックシンドロームのモデル動物でもあるわけだ。生活習慣病は、遺伝的な素因と生活習慣が大きな要因だが、それに胎児期の低栄養の要素が加わり、特にレプチンやエネルギーの代謝系が肥満の方向にプログラムされることによって肥満が起こる、と佐川教授は推測する。<br>
　一方、妊娠中・授乳期・成長期に分けて一貫して普通食を食べたマウスのコントロール群と、妊娠中にのみ低タンパク食を食べた群では、後者から産まれた仔の平均寿命が約200日短縮。逆に授乳期のみ低タンパクだと、コントロール群よりも長生きした。つまり授乳期に太らせすぎないことが寿命の延長につながったらしい。人でも、小さく産まれた子供は、一歳ぐらいになると、レプチンの量が多くなっているという。佐川教授は「『小さく産まれる』ことだけではなく『大きく育てる』にも問題があるといえる。個体には適切な大きさがあって必要以上に大きくすることも避けるべきだ」と語っている。<br><br>

　国内の複数の疫学研究では、やせすぎの女性は標準体重の女性より、約2倍の確率で低出生体重児が産まれやすいことが立証されている。実際、わが国の出生体重は、25年前3.2キロの平均体重だったのが、2005年には3キロに減った。さらに今では、2,500グラム未満の新生児が10％近くにもなる。メタボの肥満対策と並んで、若い女性のやせすぎ対策も喫緊の課題といえよう。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

<b>■やせている女性を美しいと感じてしまう社会風潮に問題</b>

　大阪樟蔭女子大学人間科学部の甲村弘子教授は「やせすぎ」が引き起こす月経異常と骨量低下について報告した。まず、「やせすぎ」の傾向は、20、30代の若い女性が年々強くなっている。特に20代の女性は今や5人に1人が、やせすぎの基準となるBMI18.5未満、という。<br><br>

　甲村教授は「やせている女性を美しいと感じてしまう社会風潮も大きな問題」と指摘する。体重と女性ホルモン(エストロゲン)は密接な関係にあり、性ホルモンが正常に分泌されるには、適量の体脂肪が必要だ。体重が減少すると、中枢(視床下部)からの性腺刺激ホルモンの分泌が減少して排卵できなくなり、月経が止まる。その後、骨量が低下し、子宮が萎縮してしまう。自然に月経が回復するには、標準体重の85％以上に回復させることが最優先という。<br><br>

　日本産科婦人科学会の調査でも、思春期の無月経要因として、「ダイエットによる体重減少」が約半数を占めている。骨量については、初経後2年ぐらいで急激に増加し、閉経後に低下する。だから、思春期に骨量をできるだけ高くし、最大骨量を上げておくことが将来の骨粗鬆症を予防する大きなポイントという。「若い時期のやせすぎと無月経によって、骨量増加が妨げられると、低骨量のままとなり、後から取り返すことは難しい」と甲村教授は警告している。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

<b>■摂食障害、目立つ日本の増加傾向</b><br><br>

　厚労省・中枢性摂食異常症調査研究班の班員3人もそれぞれの立場から語った。政策研究大学院大学の鈴木眞理教授は、「知ってほしい日本の摂食障害の現状」のテーマで講演した。<br><br>

　摂食障害には、大きく分けて、やせていて月経がない「拒食症」と、過食発作があってもやせていない「大食症」。拒食症の中でも、食べる量の少ない「制限型」と、飢餓の反動で過食が出現し、自己嘔吐(おうと)や下剤の乱用でやせている「むちゃぐい／排出型」がある。<br><br>

　日本では増加の一途をたどり、最近は低年齢化とともに慢性化した中高年患者も増えている。1980年から10年ごとに女子中高大生を調査したところ、3分の1近くが「おかしな食べ方」をし、もはや、やせすぎなのに「やせ願望」の人が4倍にも増えた。こういう人たちが摂食障害の予備群になり得るし、拒食症の頻度は、200〜600人に1人という数値が出ているが、実数はもっと多いとみられる。<br><br>

　鈴木教授は「ストレス病。まじめできちょうめんなど、ストレスをためやすい人が対処能力を超えたときに発病する」と病態を説明する。「プレッシャーを取り除くことからはじめ、ストレスを適切に、かつ合理的に対処すること、そのために自己主張など社会技能の練習も必要」と語った。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

<b>■食欲亢進に期待「グレリン」</b>

　京都大学医学部附属病院探索医療センターの赤水尚史教授は、摂食障害を加療する「新しい治療薬としてのグレリン」について報告した。<br><br>

　標準体重が65％以下になると、消化機能障害があり、摂食による体重増加は困難になる。<br><br>

　薬物療法で期待されるのは、国立循環器病センター研究所の寒川賢治所長らが胃から発見したペプチドホルモンの「グレリン」だ。摂食中枢に働き、食欲亢進などの作用がある。ラットで実験したところ、1日の摂食量、体重とも増えた。ヒトでも、グレリンの量に応じて空腹感などが増してくることが分かった。<br><br>

　血中のグレリン濃度も、食前に上がり、食後に下がる。やせている摂食障害の患者は濃度が高く、グレリンを渇望していることも分かった。グレリンの臨床応用では、赤水教授らが消化管不全の患者を対象にグレリンを投与したところ、1日の摂食量が30％増え、有意に空腹感も増強する結果となり、グレリンの有効が示された。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

<b>■栄養不足、性ホルモンの分泌にも関係</b>

　国立成育医療センター内分泌・代謝科の堀川玲子医長は、「骨粗鬆症・低身長などの合併症」について発表した。子供は、心も体も一緒に成長、成熟していく。乳幼児期から成長期の最後までを通して大切なのは栄養素。次いで小児期には成長ホルモン、そして思春期には、性ホルモンという3つが、それぞれの時期に必要だ。<br><br>

　思春期では、骨密度がピークになるが、やせ願望で栄養が足りないと、性ホルモンなどの分泌量にも作用して骨密度がやわになり、身長も伸びなくなる。怖いのは、そのまま低体重が続けば、成長障害が不可逆的(回復できない)になってしまうこと。「拒食症」で急激に体重が減る前に成長障害が起こっている人がかなりいる。母子手帳などに記載されている成長曲線をきちんとつけることによって、摂食障害を早期に発見できるのではないか、と指摘する。<br>

<div align="right">(2008/10/08)</div>]]>
      
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   <title>【検証 メタボリックシンドローム】　喫煙とメタボそのメカニズム</title>
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   <published>2008-09-03T05:41:18Z</published>
   <updated>2008-10-16T06:30:40Z</updated>
   
   <summary>□千葉大学医学部講師　横手幸太郎氏に聞く ■喫煙で一気にリスク倍増　やめれば高齢でも大幅減少 　「喫煙」が健康にとっていいことは、何ひとつない。リスクとして肺がんなどの呼吸器系の疾患が注目されてきたが、最近は、喫煙が直接、動脈硬化に影響し脳梗塞や心筋梗塞などの強力なリスクとなることが認識されるように...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://metabolic-pro.net/report/">
      <![CDATA[□千葉大学医学部講師　横手幸太郎氏に聞く<br>

<b>■喫煙で一気にリスク倍増　やめれば高齢でも大幅減少</b><br><br>

　「喫煙」が健康にとっていいことは、何ひとつない。リスクとして肺がんなどの呼吸器系の疾患が注目されてきたが、最近は、喫煙が直接、動脈硬化に影響し脳梗塞や心筋梗塞などの強力なリスクとなることが認識されるようになってきた。7月中旬に行われた「日本動脈硬化学会」でも、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)との関連を指摘する疫学的な報告が相次ぎ、喫煙がメタボ・リスクを倍増させることもわかってきた。<br><br>

　横手講師によると、1990年代に、たばこの害についてまとめた米国の調査では、肺がん、喉頭(こうとう)がん、口腔がん、食道がん、ぼうこうがん、それに、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などに加え、心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患の発症、ならびに、あらゆる心血管病の死亡リスクとの因果関係が示されている。<br><br>

　従って、わが国のがん治療学会はじめ、呼吸器学会、循環器学会なども軒並み「禁煙宣言」をしているが、動脈硬化に関連しても、日本動脈硬化学会では、「エビデンス(科学的証拠)レベルA」の扱いで「喫煙は冠動脈疾患、脳卒中の危険因子」と、うたっている。<br><br>

　こういう実態は、米・フラミンガム研究はじめ、いくつも報告されているが、わが国でも福岡・久山町研究で実証されている。5万人以上を対象に追跡調査した「NIPPON　DATA80」では、脳卒中死亡については、喫煙者は非喫煙者に対し、その相対危険度が、21本以上吸う人は2.17倍、冠動脈疾患(男性)死亡では、4.25倍だった。<br><br>

　横手講師は「足の切断に至る閉鎖性動脈硬化症や手足のバージャー病(閉塞性血栓性血管炎)などに強く影響し、脳梗塞、くも膜下出血のリスクも高くなる」と指摘。また、厚生労働省のコホート研究でも、くも膜下出血は非喫煙者の4倍のリスクとなるうえ、冠動脈疾患の発症危険度は、非喫煙者と比較して男性約4倍、女性約3倍となる。<br><br>

　ところが、年齢が高くなっても喫煙をやめれば、リスク減の効果は抜群だった。「Surgeon　General　Report(米国軍医総監報告)」に示された疫学調査では、50歳までに禁煙すると、65歳までの15年間で死亡のリスクが半減。禁煙は、あらゆる病気のリスクを、年を経るごとにグーッと減らすことになる。わが国のデータでも、例えば筑波大学グループの研究では、「10年ぐらいたばこを吸わないでいると、完全に吸わない人と同じに戻る」としている。こうした疫学結果は、日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2007年版)にも収載され、「心筋梗塞後の禁煙でも死亡率を30〜60％まで減らすことができる一方、喫煙を続けた場合は、再発症のリスクが3.1倍となる」とし、糖尿病に関しても「1日20本以上吸う人は、非喫煙者に比べ、2型糖尿病の発症が約1.6倍多い」という海外のメタ解析もある。「J-LIT(日本脂質介入試験)」研究では、女性の方が喫煙のリスクが高い。冠動脈疾患の発症リスクが、女性2.2倍、男性1.2倍となっている。妊婦に関しては、「妊娠3、4カ月前にたばこをやめると、低体重児の出産が減り、たばこを吸い続けると、未熟児で生まれる危険性が高くなる」と横手講師。受動喫煙で吸うたばこの煙の量は、100分の1にすぎないが、動脈硬化との関連については、「直接吸っている人が8割リスクが高くなるのに対し、受動喫煙でも3割上昇する」というデータを提示している。吸うか吸わないか、周りの人にも影響することは間違いない。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

　喫煙からどういうメカニズムで動脈硬化に至るのか？ 横手講師は「酸化ストレスと呼ばれる刺激が重要。これが体内に増えると血管の内皮機能を低下させ、血管も収縮・炎症を起こし、脂質代謝も悪化して粥(じゅく)状動脈硬化を促進する」と説明する。<br><br>

　一酸化窒素(NO)は、血管の通りや内皮の働きを良くすることが知られている。ところが、喫煙は体内にフリーラジカルを増やし、酸化ストレスを増大させる。するとNOが減少し、血管の収縮や血栓の形成を容易にするとともに、血栓を溶解する「線溶系」の働きを弱める。「酸化ストレスが炎症をもたらし、本来つるつるだった血管内皮に接着分子が増え、白血球などが血管にへばりついて、コレステロールを取り込むことになる。LDL(悪玉)コレステロールの酸化も進みやすくなる」(横手講師)。つまり、同じコレステロール値でも、たばこを吸っていると、より一層コレステロールが悪さをしやすくなるのだろう。<br><br>

　さらに喫煙は、HDL(善玉)コレステロール値を下げ、中性脂肪を上げると同時に、糖尿病の指標となる「インスリン抵抗性」を助長するというデータもある。体内に炎症性の悪玉サイトカインが増え、善玉の「アディポネクチン」が減るアンバランスも生じるという。「メタボリックシンドロームとこれらのリスクが重なれば、足し算ならぬ掛け算で動脈硬化を悪化させる可能性がある」と横手講師は強調する。<br><br>

　最近、話題となっているのは、「血管内皮前駆細胞(EPC)」。血管壁が傷つくと、骨髄から血管壁を形づくる前駆体の細胞が内皮細胞となって修復に向かう作用が発見されているが、高血圧や糖尿病と同様、喫煙状態だと、この前駆細胞の数を減らすらしい。その一方でたばこをやめると、およそ2週間でEPCの数は戻ってくる。<br><br>

　「たばこであっという間に肺が悪くなる人もいれば、長年吸っても何も起きない人もいる。そのような違いを生む遺伝的なバックグラウンドも知られるようになってきたが、まだ解明は不十分。しかし、たばこがたくさんの病気の危険因子となり、ありとあらゆる臓器に悪さをすることは間違いない。いずれにしても、健康寿命をおびやかすので、やめるのにこしたことはない」(横手講師)<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br><br>

<b>■データ面からも危険性証明　日本動脈硬化学会</b><br>

　日本動脈硬化学会では「生活習慣病対策フォーラム」なども開催、メタボに関連して喫煙対策や循環器疾患リスクなどの発表も相次いだ。<br>
　日本禁煙学会理事も兼ねる北海道・深川市立病院の松崎道幸内科主任医長は「働く世代の心血管疾患の一次予防」と題して喫煙対策を取り上げ、さまざまなデータを基に「日本人の働き盛り男性の最大死因」とたばこの害を位置づけた。茨城県健診受診者の追跡調査では、全死亡の24％が喫煙、11％が高血圧、3％が高血糖で生じるという結果事例を発表している。肥満と対比した群馬大学の疫学調査で高BMI(肥満指数25以上)男性の全死亡を比較したところ、喫煙者のみが有意に増加し、非喫煙者と禁煙者では増加していなかった。<br><br>

　メタボとの関連については、「喫煙者は内臓脂肪が蓄積しウエスト・ヒップ比が増大。アディポネクチンも3割近く減る」などの調査事例を挙げ、「喫煙者は、間違いなくメタボの予備群」と語った。三井記念病院の法定健診受診者(都心のサラリーマン中心)に対してメタボの罹患(りかん)リスクを調べたところ、喫煙者は非喫煙者の2倍罹患リスクが高まることがわかった。「メタボの半分は喫煙が原因」(松崎医長)という。これらのデータから、松崎医長は、「健康を守るには、禁煙を最優先にしてもいい。人間ドックや健診でも、強力に禁煙指導を行うべきだ」と提言する。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

　また、国立国際医療センター循環器科の廣江道昭第一専門外来部長は「動脈硬化の最大リスク喫煙」と題して発表。米国人女性に対する調査研究で、「1日15本以上吸っていたら心血管疾患の死亡リスクは、軒並み高率」と説明した。<br><br>

　たばこ成分のニコチンには強い血管収縮力があり、急激に血圧を上昇させることなど、副流煙を吸い込んだウサギの実験事例で示したほか、禁煙の効用として6年前、米モンタナ州ヘレナで半年間のみ公共の場での禁煙条例が施行された例を挙げ、その際ある病院では、その期間だけ入院患者が急激に減り、再開するとまた増え始めたという。大阪市内の病院で、心筋梗塞の入院患者のうち、禁煙を実行した群と吸い続けた群を比較したところ、明らかに吸い続けた群の死亡率が高かった。廣江部長は「臨床現場でも腹部大動脈瘤(りゅう)の患者さんの多くがスモーカーでした。今からでも遅くはない。禁煙すれば、次の大病を起こさなくて済むのです」と語る。<br><br>

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇<br>

■横手幸太郎：よこて・こうたろう　千葉大学医学部卒業。東京都老人医療センター医員、スウェーデン国立ウプサラ大学大学院博士課程修了、日本学術振興会特別研究員など経て平成18年、千葉大学大学院講師。日本動脈硬化学会評議員(動脈硬化診療・疫学委員)。

<div align="right">(2008/09/03)</div>]]>
      
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   <title>【検証 メタボリックシンドローム】　環境変化とメタボの確率</title>
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   <published>2008-08-06T01:36:59Z</published>
   <updated>2008-10-16T06:14:04Z</updated>
   
   <summary>　■日系米人、メタボの割合　倍以上 　日本人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になる確率は、現在の欧米化した栄養状態が続くとどのように変化していくのか。栄養摂取と病気の関係について、疫学の立場から多くの国際共同研究を手掛けている滋賀医科大学社会医学講座の上島弘嗣教授は、7月に大阪で開かれた...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://metabolic-pro.net/report/">
      <![CDATA[　■日系米人、メタボの割合　倍以上

　日本人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になる確率は、現在の欧米化した栄養状態が続くとどのように変化していくのか。栄養摂取と病気の関係について、疫学の立場から多くの国際共同研究を手掛けている滋賀医科大学社会医学講座の上島弘嗣教授は、7月に大阪で開かれた「高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム第4回研究集会」で講演。日本人と、ハワイで生活している日系米人らを比べ、環境の違いによりメタボや動脈硬化など関連の病気の発症率がどのように異なっているか、日本人の生活習慣病の将来予測につながるデータを報告した。

　■将来予測　日本も糖尿病高頻度に

　上島教授は、潜在性動脈硬化症の日米比較研究「ERA-JUMP」のデータに基づき講演した。この国際共同研究は、米国フィラデルフィアのピッツバーグ大学周辺の白人、ハワイ・ホノルルの日系米人、滋賀県の草津市在住の住民の3集団を対象に、それぞれ40歳代男性約300人について潜在性動脈硬化症、メタボなどがどのぐらいの割合で発症しているか、比較したもの。

　40歳代の男性については、動脈硬化の原因になる血液中のコレステロールの値は日米でほとんど変わらない。昭和40年代生まれの世代は食生活も欧米化し、脂肪が多い食事を取っているとみられることから、潜在性動脈硬化をチェックすることで、心筋梗塞(こうそく)による死亡が多い米国人の病態に日本人が近づく傾向があるかどうか、将来予測や予防につなげるのがねらい。

　超高速CT(コンピューター断層撮影装置)を使い、心臓の冠動脈に生じる動脈硬化(カルシウムの沈着による石灰化)を映し出すなど最新の機器による精密な調査。日米とも受診率は約50％だった。

　その結果、血圧については、日系米人が少し高めである以外は、大きな違いはなかった。動脈硬化のリスクになる悪玉(LDL)コレステロールについては、日本人と米国の白人とはほぼ同じだった。日系米人は低かったが、これはコレステロールを低下させる薬であるスタチンをすでに投与している症例が多かったことと関連していた。また、中性脂肪については、日系米人が最も高く、白人と日本人は同じ値だった。

　ところが、超高速CTなどで調べたところ、心臓の冠動脈の潜在性動脈硬化の陽性率は日系米人、白人の順で多く、日本人は低かった。頸動脈の内側を狭くするプラーク(隆起)の陽性率も日系米人、白人、日本人(ゼロ)の順に多く、日系米人の動脈硬化が進行していることがうかがえた。

　また、40歳代男性の糖尿病の頻度については、日系米人の糖尿病の頻度は13％を超える値で、日本人は5％以下、白人も約3％だった。上島教授は「1960年代からハワイの日系米人の糖尿病の頻度が高いとされていたが、それが現代の40歳代男性でも確認された。日本人が肥満になると日系米人のように糖尿病にかかる可能性は高いでしょう」と予測した。

　大きな違いが出たのはメタボだった。日系米人と日本人は身長の平均が約170センチとほとんど同一のため、日本の診断基準(男性の腹囲85センチ以上)で測定した。結果は、日本人が厚生労働省の国民栄養調査の約20％に近い値で、日系米人は、その倍以上もあった。

　上島教授は「日系米人は日本人より、平均身長がほぼ同じなのに、平均体重が10キロ以上も多い。このことからもこのような結果になるのでしょう。冠動脈硬化などの陽性率が高くなっているという状況があるので、日本人の遺伝子を持った人で環境が変わればメタボの頻度が高くなり、白人以上に動脈硬化になる可能性がある」と強調する。「現在、日本は先進国の中では心筋梗塞の死亡率が低い国の一つですが、その状態が本当に保てるように注意しないといけないことを示している」と断言した。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　

　上島教授は栄養と血圧に関する国際共同研究「INTERMAP」(1996-99)の中の栄養調査のデータについても発表した。

　この調査は、日本人、日系米人、白人ら日米英中の4カ国の40-59歳の男女について調べている。

　その中で、全体のエネルギー摂取に対する飽和脂肪酸の摂取率は、英国や米国は10％以上で、日系米人、日本人の順に低くなっていった。ところが、動脈硬化などを防ぐ作用があるとされている多価不飽和脂肪酸については、日系米人や日本人はもっとも高かった。なかでも、魚の脂の主成分であるオメガ3系の不飽和脂肪酸が多く、エネルギー比率で1.3％を占めていた。日系米人は、日本人と同じように魚を多く食べる習慣が受け継がれているとみられ、長寿の高齢者が多いとされている。

　一方、肥満の原因となる砂糖類の摂取をグラムで換算して推計すると、米国の白人は1日当たり160グラムを超えている。日系米人は120グラムで、日本人は100グラム以下。活動量の指標として肥満度を示すBMI(体重割る身長の2乗)当たりのエネルギー摂取量を調べると、やせ形の日本人は多かったが、肥満型が増えている日系米人はもっとも少なく、あまり運動していないことが分かった。

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【プロフィル】上島弘嗣
　うえしま・ひろつぐ　金沢大学医学部卒。大阪大学医学部助手、国立循環器病センター集団検診部医長を経て平成元年から、滋賀医科大学教授。日本公衆衛生学会理事、日本循環器管理研究協議会理事長。専門は公衆衛生学、健康科学。

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   <title>【検証　メタボリックシンドローム】　リサーチフォーラム報告　腹囲必須項目　日本のメタボ診断基準は有用</title>
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   <published>2008-08-06T01:32:49Z</published>
   <updated>2008-10-16T06:26:07Z</updated>
   
   <summary>「高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム」では、メタボの食事・運動療法や、腹部肥満と病気の関連などの発表が相次いだ。 　京都大学大学院医学研究科の荒井秀典講師は、同病院の治療方針にしているメタボに対する食事療法・運動療法の効果について発表した。荒井講師は、京大病院に通院する37歳から...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://metabolic-pro.net/report/">
      <![CDATA[「高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム」では、メタボの食事・運動療法や、腹部肥満と病気の関連などの発表が相次いだ。

　京都大学大学院医学研究科の荒井秀典講師は、同病院の治療方針にしているメタボに対する食事療法・運動療法の効果について発表した。荒井講師は、京大病院に通院する37歳から75歳までのメタボの患者33人に対し、毎日、理想体重掛ける25の数値に相当するカロリーを摂取する食事指導と、1回当たり1万歩以上を週5回行う運動指導を6カ月間行った。このうち、食事・運動目標を達成したのは10人で、体重、腹囲の減少、悪玉(LDL)コレステロールの指標であるアポリポタンパクB、炎症などの指標である高感度CRP(C反応性タンパク)がいずれも減少していた。また、食事療法のみ達成した10人は、体重と腹囲の減少が見られた。

　荒井講師は「食事・運動療法は効果があることが分かった。今後は、達成率の上昇につとめたい」と話している。

　また、大阪大学保健センターの瀧原圭子教授は、30歳代から50歳代までの同大学職員約2000人を対象に腹囲などリスク因子を測定し、メタボ予備群である腹囲肥満群と非肥満群のデータを比較した。この結果、腹囲肥満群の血圧などのリスク因子はすべて高く、炎症などが分かる高感度CRPなどのマーカーの値も高かった。

　さらにメタボの最終病態である頸動脈の内側が肥厚する度合い(IMT)については、男女ともメタボのリスクの数が増えるに伴い、肥厚の度合いも増していた。

　なかでも15カ月の観察期間で体形指数BMIと腹囲の変化率がIMTの変化率と強く相関しており、「腹囲を必須項目にした日本のメタボ診断基準は有用」と指摘した。

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   <title>特定健診・特定保健指導(1/3)「日本はすごい」海外でも高い関心</title>
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   <published>2008-07-20T01:58:15Z</published>
   <updated>2008-10-16T07:02:32Z</updated>
   
   <summary>　メタボリックシンドローム撲滅委員会は5月29日、東京のホテルで開かれた。委員長の松澤佑次・住友病院院長、委員の北徹・京都大学副学長、齋藤康・千葉大学学長、松岡博昭・獨協医科大学教授、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長、春日雅人・国立医療センター研究所長とオブザーバーの関英一・厚生労働省健康局生活習...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://metabolic-pro.net/report/">
      <![CDATA[　メタボリックシンドローム撲滅委員会は5月29日、東京のホテルで開かれた。委員長の松澤佑次・住友病院院長、委員の北徹・京都大学副学長、齋藤康・千葉大学学長、松岡博昭・獨協医科大学教授、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長、春日雅人・国立医療センター研究所長とオブザーバーの関英一・厚生労働省健康局生活習慣病対策室長が参加。今年から進められている特定健診・保健指導をめぐる課題やメタボ予防対策の拡大について話し合った。

　
■検査値、リスク認識正しく理解して

<b>関　氏</b>　特定健診・特定保健指導の制度が始まる前には、新たに実施主体になる健康保険組合などのうち、これまでの取り組みの経験が少なかったところは、新しく事業をしなければならないという重圧感もあったようです。しかし、全体の機運としてこの事業を通じてきめ細かな対象者の情報を、多面的・立体的に入手できるようになり、そうした情報を活用して対象者によりよいサービスを行うという前向きの事業展開をしていこうと尽力されている組合も多いということは、非常に心強い気がします。

　国民健康保険での市町村の取り組みも同様で、意欲的に取り組んでいるところが全体を引っ張っていく傾向が見えます。対象になる被保険者らに、どのようにメッセージを届ければ聞いてもらえるか、ということまで含めてきめ細かい前向きな議論がなされているという印象です。

　もう一つ大事なキーワードは、「連携」です。実施主体の医療保険者は、事業を請け負う健診・保健指導の実施機関との間はもちろん、労働安全衛生面をになう事業主との間で、また、健康増進計画づくりなど環境整備面で重要な役割をになう都道府県や市町村との間で円滑な連携を取ることが重要です。一方、ここはいちばんご苦労の多いところでもあるかと思います。そういった課題を克服して、前向きに取り組んでおられる医療保険者、関係者の方々も多く、非常に勇気づけられる動きと思っております。

<b>松澤氏</b>　特定健診については、日本の新聞に掲載された私のインタビュー記事が英訳され、米国の新聞のオピニオン欄に載りました。「長期的には心筋梗塞(こうそく)など動脈硬化による重い病気が減り、医療費削減など効果が出るだろう」という内容で、それを、海外の人が読んでいて「日本はすごいことをやっている」とシカゴで開かれた国際動脈硬化学会(IAS)の理事会の席上でも話題になりました。欧米の学者は日本以外の国では絶対できない制度だとものすごく感心していました。日本は健康立国として自慢していい、と思います。

　日本の場合は、企業の健康保険加入者は、以前からきめ細かい健診制度がありました。ただ、国民健康保険の加入者で自発的に市民健診を受けていない人にとっては、義務化されるのは大きな変革です。尼崎市の保健師、野口緑さんの話でも、収縮期の血圧が200mmHg(正常範囲130mmHg以下)なのに、放っていた人や、糖尿病の合併症がひどい人でも今回の特定健診ではじめて発見された人が出てきているとのことです。

　ただ、この健診制度の現場で生じるいろんな問題に対してはできるだけ速やかに改善し、建設的にやっていけば、女性は現在も世界一長寿ですが、男性も長寿のトップになるような結果が出てくる、と期待しています。

<b>北氏</b>　特定保健指導で行動変容の問題が重要である。母親の教育や子供の時からの行動パターンはなかなか変わらない。だから、家庭教育の視点をどう変えていくかが、非常に重要なところではないかと個人的に思っています。

　日本動脈硬化学会としては、年に6カ所か7カ所、大都市で医師向けのメタボリックシンドロームを含んだ動脈硬化性疾患予防をめざす普及・啓発セミナーを行っています。そこで思うのは、日本は循環器系の病気の中で脳血管障害の発症率が、心筋梗塞など心血管障害の発症率より高いことです。ところが、大学の教授を見ると、圧倒的に心血管障害をテーマにした教授が多く、とてもアンバランスです。

　そのギャップをどうやって医療の面で支えていくかという問題と、40歳代、50歳代は入院患者の中に、脳梗塞が多くなっていますので、学会としてはその人たちのQOL(生活の質)を守ることに努力していきたい。また、学会の動脈硬化の診療ガイドラインで新たに示された「総コレステロールではなく、悪玉(LDL)コレステロールを測定する」ことについても強調していきたい。

<b>松岡氏</b>　高血圧の領域ではよく2分の1の法則ということが言われています。高血圧であってもそれを認識している人は半分しかいない。これはメタボでも同じだと思います。また、高血圧の治療をきちんと病院で受けている人も、その認識している人の半分しかいない。さらに、きちんと管理されている人もその半分で、最終的には高血圧の8分の1しかきちんと管理されていないということになります。

　そういう意味では、このメタボ撲滅委員会が中心になり、大勢の方々にメタボを認識してもらうのがいい。患者の数が増えるだけじゃないかという議論は全くあたらない。メタボのリスクを認識することにより、生活習慣をきちんと改善することが大切であることを知ってもらいたい。

　日本高血圧学会としては、3年前から高血圧協会をつくり、市民への啓発活動に力を入れております。世界高血圧デーの5月17日を日本の高血圧の日と定め、この前後の期間にキャンペーンを行っています。このような啓発活動をメタボとも結び付けたいと思っています。

<b>齋藤氏</b>　実務的なこととしては、もう少しメタボに対して、国民的に正しい知識を持つ国民になってほしいと思います。千葉県のある地方で疫学的に調べましたときに、あなたは「血圧」「コレステロール」「中性脂肪」「血糖」について、自分の値を知っていますかと聞いて、明らかに知らない人は一番悪くて、知って数値を言えた人が一番よかったというデータが、修士論文で出てきました。私はここが非常に大きなポイントだと思います。きちんと検査の値の持つ意味を知ってもらうということが、われわれの作業としてまだまだ残されている領域ではないかなという気がいたします。

<div align="right">(2008/07/20) </div>

<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/07/23.html" target="_blank">特定健診・特定保健指導(2/3)＞＞</A></div>
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   <title>特定健診・特定保健指導(2/3)生活習慣改善、日々継続が大事</title>
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   <published>2008-07-20T01:55:51Z</published>
   <updated>2008-10-16T07:05:22Z</updated>
   
   <summary>渡邊氏　私どもは3年前から肥満した人を対象に行っているプログラムで、1年間相当密に行動変容をして、体重が5％減った人がやっと51％ぐらい。当初の目的の10％減った人はわずか4分の1です。個人の行動変容を国民運動にするのは相当難しいことで、本人が自分のQOLを死ぬまで高く保つには、どういう生き方をすれ...</summary>
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      <![CDATA[<b>渡邊氏</b>　私どもは3年前から肥満した人を対象に行っているプログラムで、1年間相当密に行動変容をして、体重が5％減った人がやっと51％ぐらい。当初の目的の10％減った人はわずか4分の1です。個人の行動変容を国民運動にするのは相当難しいことで、本人が自分のQOLを死ぬまで高く保つには、どういう生き方をすればいいのか、心から納得していただくのが大事です。それでメタボ撲滅委員会では、トライアルで3カ月間一生懸命やって、かなりの人がうまくやせたそうですので、そういう人たちがリーダーになって、コアをだんだん増やしていくというのが、うまく成功する道ではないかと思っています。

　日本人は個人のレベルの話と公共の話とがいつも混在します。たとえば、禁煙というと、たばこは個人の嗜好だからほっといてくれという話が出ますが、たばこで実際病気になった人は健康保険を使います。一生懸命に禁煙している人の保険料も使って、自分の疾患を治すことになる。メタボも同様で太っているのは勝手といっても、心筋梗塞になってバイパス手術するときは、必ず保険を使う。私も歩くことなどで17キロやせましたが、いかに身軽に運動できる体が自分にとって快適かということを実感してもらう。肥満からもとに戻って初めて健康の意味が心底わかるようになるので、ぜひそれを広げていただければと思います。

<b>春日氏</b>　この撲滅委員会では、1年目にはメタボという言葉や概念の普及に貢献し、2年目は実際にメタボ予防のために、いろいろ運動を展開してきました。3年目は、最初の意気込みをいかに継続していくかということが課題になるでしょう。

　それから、もう一つは、最近のある研究では、人の脂肪細胞の数は幼児期から20歳までの間のみ増えるという報告があります。幼児や小学生のころの肥満を予防することが、メタボをなくすキーポイントかもしれません。実際、幼児期の肥満児童は、75％以上が大人になっても太っているらしい。幼児期に正常体重であれば、成人になって肥満するのは10％以下ということから考えると、幼児期から中学生ぐらいまでの食育を含めた教育が非常に重要だと思います。

　また、生活習慣というのは非常に細かいことの積み重ねです。1日ちょっと食べないことを例えば1カ月続けると、計算上はすごく体重が減る。逆だと大変に太ってしまう。メタボを予防できるかは、日々の小さな努力の積み重ねだということを、再認識していただくことも重要かなと思います。

<b>松澤氏</b>　メタボが国のプロジェクトのターゲットになったために、この症状の予防だけですべての動脈硬化を減らすというふうに誤解されている方がまだ多い。やせていても、高血圧などリスクが重なっている人に対しては、ひとつひとつのリスクを治療していく必要があるのです。メタボを診断する目的は、薬よりも生活習慣の改善を優先する人を選び出しているという位置づけを再認識する必要があります。

　生活習慣については、社会環境の問題も大きい。運動不足になりやすい環境とか飽食時代の環境に加えて、教育や子供の問題については外で遊べないなど社会的な要因もある。安全な自転車道路や運動できるグラウンドの整備を呼びかける啓発運動も大事でしょう。

　さらに、保健指導する人材の育成についても、関連学会が共同で指導して、認定書を出すようなシステムをつくり、特定健診の制度に参加する動機付けを高めていくという考えはいかがなものでしょうか。

<b>関　氏</b>　国の研修としては、特定健診・特定保健指導を担う医師、保健師、管理栄養士をはじめ、関係者の方々を対象に、国立保健医療科学院で3日間の研修を今年度も2回行いました。この内容を地元に持ち帰って、自治体主催などの研修会で講師になっていただき、逆に新たな地域での問題点を国や同僚参加者へ還元していただくことにより、関係するプロの皆さま相互のネットワークを密にすることができたらと思っています。

　現在行われている取り組みに、さらに認定書といった要件を上乗せするようなことは今のところ考えておらず、まずは研修や情報交換などを通じて実質的な資質向上をいかに図っていけるかと考えています。

　また、保健師、管理栄養士の人材確保については、今後、事業規模の広がりに呼応して、専門的資質を備えた人材の充足を図っていく必要があります。専門家サイドの取り組みとして、例えば、日本栄養士会が中心になって、全国47の都道府県の栄養士会が栄養ケア・ステーションを組織し、必要なときに管理栄養士などが支援に行くという仕組みをつくっています。非常に使命感を持って取り組んでおられる感じはしています。

<b>松澤氏</b>　今回の制度は、国際的にも非常に注目されており、何とか成功させていただきたい。種々の批判に対してもきめ細かくきちんと説明して、建設的によい方向に進めていただきたい、と思います。

<div align="right">(2008/07/20) </div><br>

<div align="right"><A HREF="http://metabolic-pro.net/report/2008/07/33.html/" target="_blank">特定健診・特定保健指導(3/3)＞＞</A></div>]]>
      
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   <title>特定健診・特定保健指導(3/3)小児肥満、親子ともども「食育」必要</title>
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   <published>2008-07-20T01:42:05Z</published>
   <updated>2008-07-22T08:02:12Z</updated>
   
   <summary>　メタボリック撲滅委員会の今年度第1回実行委員会は、6月27日、大手町サンケイプラザで開かれ、「特定健診・保健指導」スタートから3カ月の状況や今後の方策などについて話し合った。 　出席者は、リーダーで実行委員長の宮崎滋・東京逓信病院内科部長をはじめ、委員の横出正之・京都大学探索医療臨床部長・教授▽柴...</summary>
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      <![CDATA[　メタボリック撲滅委員会の今年度第1回実行委員会は、6月27日、大手町サンケイプラザで開かれ、「特定健診・保健指導」スタートから3カ月の状況や今後の方策などについて話し合った。

　出席者は、リーダーで実行委員長の宮崎滋・東京逓信病院内科部長をはじめ、委員の横出正之・京都大学探索医療臨床部長・教授▽柴輝男・三井記念病院糖尿病代謝内科部長▽和田高士・東京慈恵会医科大学新橋健診センター所長▽宮地元彦・国立健康・栄養研究所プロジェクトリーダー▽鈴木志保子・神奈川県立保健福祉大学栄養学科准教授▽菅野隆・健康創研代表。

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<b>■筋トレ＋エアロ　メタボ予防に有効</b>

<div align="right">　国立健康・栄養研究所プロジェクトリーダー・宮地元彦氏</div>

　メタボ予防を機軸とした「特定健診・保健指導」では、食事とともに運動の成果も問われている。国立健康・栄養研究所プロジェクトリーダーの宮地元彦氏らは、フィットネスクラブ「カーブスジャパン」との共同研究で、食事には介入せずに筋力トレーニングなどの運動でどれほど減量効果が上がるのか、報告を行った。

　運動プログラムは、筋トレ▽エアロビックエクササイズ▽ストレッチングの3つの組み合わせを30分で行うというもので、いわゆる無作為割り付け介入研究。参加者25人に対し4カ月間実施。30分の中身は、30秒筋力運動をしたら30秒有酸素運動の組み合わせを繰り返し、最後の5分間、ストレッチで終わる。それを週3回続けた。

　その結果、介入群と非介入群を比較したところ、体重約1.5キログラム、腹囲で約1.6センチの差が出て、収縮期血圧・血糖値もそれぞれ8mmHg・4mmg/dl下がり、動脈硬化指標の脈波伝播速度も低下。その間、筋量はむしろ増える傾向に。「普通、減量すると筋量も落ちてしまいがちだが、そういうこともなく体脂肪を効果的に落とすことができた」と宮地氏。

　平均値はさほどでもないが、中には、体重・腹囲ともに3キログラム・3センチ減った人も。一番劇的だったのは、脚伸展パワーが、30％も増加したこと。この成果からして、宮地氏は「長期に取り組めばメタボの改善に有効なことがわかった。脂肪を減らすけれども筋肉は減らさない。筋力を高めることで脚力・体力とも高まるので、介護予防にも役立つ」と語る。

　宮地氏は、NPOを通じて、早稲田大学健康保険組合の保健指導も行っている。4月から始まった「特定健診・保健指導」については、「健診の終了とともに電算化データが上がってくるはずだが、健診施設と健保と、私たちのNPOとをつなぐ情報ネットワークの仕組みが未完成で、遅れ気味です」と現状を吐露し、特定健診から特定保健指導へと、スムーズに移行する連動態勢の問題点を指摘している。

　一方、実行委員の間からは、期せずして子供の肥満や親自身を含めた「食育」問題が遡上(そじょう)。これに関連して宮地氏は、まず運動・身体活動に関する厚生労働省策定の「エクササイズガイド2006」が高等学校の教科書に掲載されていることを明らかにし、今後、「食事と運動の両面から、学校という大事なプラットホームの中で変に“ゆとり教育”でなく、教育すべきことをしっかり科目を通して教えてほしい」と語った。宮地氏は、日本学術会議の、子供の肥満やメタボ予防を目的としたエクササイズガイドラインづくりを支援している。また、同研究所でも、子供の肥満は、疫学上も、母親の胎内環境や低栄養と連動しているとの判断から、むしろ若い女性の間では、“やせ過ぎ”が問題だとして取り組む構えだ。

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<b>■喫煙もメタボ対策の一環</b>　宮崎　滋氏

　男性のウエスト85センチ、女性90センチというのは、あくまでメタボリックシンドロームの診断基準をみていくうえでの入り口です。肥満・内臓脂肪の蓄積が基本にあり、なおかつ高血圧や脂質異常などのリスクが集積してくるというのが問題なのであって、ウエスト数値が1センチ少なかったから良いということではありません。今回の「特定健診・保健指導」は、メタボ予防に励む個人個人の努力をサポートすることはむろんのことですが、これからは、「地域」としてバックアップしていくことが重要。さらに